死神ですけど、何か?
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明が微かに目を瞑ったとき、宏助は明と有馬の間に割ってはいる。
「ほ〜。ビックリだね。魂が肉体に戻ると俺の速度についてこれるのか。しかしアンタもその行動は利口じゃないな。」
有馬がおどけたような口調で俺を挑発。しかし、自分の行動に迷いはなかった。
「俺の仕えるお嬢様が頑固で変わり者なのが一つと・・・・・・、」
律儀に有馬の質問に答えてやり、
「あと一つはお前が個人的にムカつくからだよ!」
そう言いながら有馬の顔面に右フックを繰り出した。
「貴方の死んだ理由とはなんですか?」
宏助の右フックにより有馬が明の反対方向に吹き飛ばされ、一時明から危険が遠ざかる。
そして、明は坂口に質問をしてみることにした。
「だ、だから自殺だと・・・・・・・」
「貴方の死んだ理由はなんですか?」
もう一度同じ質問を口にする。有無を言わさぬ強い口調。それが坂口に言葉を出させる。
坂口は一度肩を大きく落としてから話し始めた。
「・・・・・・私はある、銀行のサラリーマンでした。仕事一筋で出世もして、それなりに高い地位まで上り詰めました。そんな仕事人間の私にも妻がいて・・・・・、いい妻でした。温泉が好きで・・・・、仕事、仕事と言いながら、年に一度は必ず温泉目的の旅行に行ってました。ですが・・・・・、」
そこで坂口は一度言葉を切り、大きく嘆息。そして、もう一度話し出す。
「私が・・・・、浮気してしまったんです。」
明は無反応だった。いや、正確には無反応を装っていた。ここで反応しても、どうとなる訳ではない。彼の話の妨げになってはいけない。
そのまま坂口は明の意図どおりに話を続ける。
「社長の・・・・、娘とでした・・・・。最初は軽い気持ちだったんですが、段々とエスカレートしていきました。そして、ある日、自分が妻に離婚を切り出そうかと帰ったその日、妻は自殺していました。私の浮気にすでに気づいていたようで、手紙の中にそう書いてあり、会社にも報告した、と書いてありました。どうやら、探偵を雇っていたようです。その後日、当然私は会社をクビになりましたが、・・・・・そんなのどうでもよかった。それから一週間、妻の死に顔が頭から離れなかった。妻の足が自室に浮いていた光景が。親戚からの目線なんて気にならなかった。そして、そのまま一週間後に私も自殺したんです。」
坂口は話し終えると同時に顔を俯かせている。しかし、明が彼に言うべき言葉は慰めではなかった。
「私が貴方に言いたいことは一つです。貴方はもう、奥さんのことを愛していないのか、と。」
坂口がそれを聞いてパッ、と顔を上げる。そして、
「も、勿論愛してます!後悔しています。軽い気持ちで妻を裏切ってしまったことを!だから謝りたい!罵られてもいいから、妻に会って謝りたい。それが私の未練ですから!」
それを聞いて
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