第七章
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ユダの子孫はそれを聞いて笑った。
「私にとって人間なぞは糧に過ぎない。偉大なる我が始祖は違っておられたが」
ユダのことに言及する。
「しかし我等は違う。偉大なるユダの血脈はな」
「まだ言うか」
「何度でも言おう」
ユダの子孫はそう返した。
「私の高貴な血筋のことをな。そして一つ付け加える」
「何だ!?」
「私が人間に対して自身の血脈を言う時」
言葉を続けた。
「その人間は必ず死ぬ、と」
言い終えると目が光った。そしてそれで本郷を見据えた。
「覚悟はできているな、人間よ」
「俺には本郷忠というれっきとした名前がある」
だが本郷は臆せずにそう返した。
「高貴で偉大な血筋なら一回言っただけでわかるな」
「ふふふ、確かに」
ユダの子孫はそれを認めた。
「それでは私の名も覚えていてもらおう」
「何だ。バートリーとでもいうのか」
「あれも我が一族だったな」
彼はバートリーという名を聞いてそう嘯いた。バートリーとはかってハンガリーのチェイテを治めていた一族である。その辺りでは名門として知られハプスブルク家とも血縁関係にあった。だがこの家は当時の欧州の家によくあった近親婚の影響か異常な者が多かったと言われている。
「あれは異常だったのではない。元々人ではなかったのだ」
男はそう語った。
「血を好む我が一族の習性に従ったまでのこと」
その通りであった。彼等はそのユダの血に従い血を欲してきたのだ。その代表とも言えるのが血塗れの伯爵夫人と呼ばれ今尚怖れられているエリザベート=バートリーであった。
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