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紅き微熱と黒き蓮華
第一話
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画面一杯に褐色の女の顔があった。
目が合うと、女はイタズラが成功した子供のように無邪気に笑った。その姿が何故かあの人と面影が重なり、本来ならば女や子どもにも容赦がない彼は突き飛ばす等しただろうが、出来なかった。

(チッ…コイツの蓮のペンダントで思い出したのか?そうでなければコイツとあの人は似ても似つかねえ姿だしな)

しばし呆けていたが、不意に訪れた右胸の激しい痛みが神田を襲い彼は再び気を失った。



彼が右胸を手で抑え、再び気を失うのを見てキュルケは慌てた。

「ミスタ・コルベール!!」

「普通では考えられないが、ルーンが胸に刻まれて意識を失ったんじゃないのか?ちょっと失礼して確認するよ」

気を失っている彼に断りを入れると衣服をはだけさせてルーンを確認した。

「こ、これは?どちらもルーンに見えるが…右胸の方だろうな。ほう、蓮とはゲルマニアの君らしいルーンだね」

彼の胸に刻まれていたのはキュルケとの契約の証のルーンの他に左胸に見慣れない文字(?)があった。
一族のしきたりか何かだろうか。

(十字架の事、聞けなかったけど今日は目を覚ましそうにないわね。人間の使い魔か…いいえ、私はトライアングルメイジよ。必ず私の使い魔にふさわしいはずだわ)

君の召喚の儀は終わったと告げ、コルベールは他の生徒の立ち合いに行き、そこに残されたのはキュルケとその膝で眠る神田のみであった。

没案1

ところが、唐突に火の渦と火竜は消え、代わりに虚空から黒髪のポニーテールの女が現れた。
整った目鼻立ちをしていて見る者に美形の印象を与えた。

「何なのかしら!貴女はいった……え?」

突然の出来事に驚いたキュルケはとりあえず口を開こうとしたが、そこで彼女は言葉を詰まらせた。

理由は二つ。

一つは彼女の胸にある十字架が夢で見た十字架と同じだったからだ。似ているとかそういう次元ではなく全く同じものだったので非常に驚いた。

そしてもう一つは――――

彼女の刀の切っ先がこちらに向けられていたからだ。

「テメェに質問だ。ここはどこだ?」

彼(声の低さからして男のようだ)は不機嫌そうな顔で尋ねてきた。

「あ、貴方いきなり刃を向けるなんてそれが人にものを尋ねる態度なのかしら?」

少々焦りを滲ませながら、キュルケはできるだけ毅然とした態度で対応すると、彼は舌打ちをしながら渋々と刀を下ろした。



(チッ…。どうなってやがる?)

一方、黒髪の彼、神田もこの状況に驚いていた。
神田はその日、探索部隊と手分けをしてイノセンスを捜索していた。
その際にいかにも怪しい鏡らしきものが宙に浮いているのをを見つけた。
彼はイノセンスだと思い、回収しようと手を伸ばすそうと
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