LAST WAR-ax
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しかしそれは、W教授も老師・張も同じだった。
「やはり何かある」
老師・張が厳しい目で、現宙域に展開している回線の一覧を覗く。
異変を知らせる警告音が鳴り響いたのはその直後だった。
「L-4宙域07基地に高エネルギー体の起動を確認!!」
L-4コロニー群宙域は今回の戦場からさほど遠くない場所ではあったが、移動には少なくとも30分はかかる距離にあった。
「07基地だと!?まさか!?」
五神の頭にはひとつの恐ろしい兵器の名が浮かんでいた。
「あぁそうだろう…『カヲス』だ」
老師・張が確信した声で告げる。
自律型超級破壊爆弾カヲス。その質量はピースミリオン級宇宙戦艦に匹敵し、もし地球に落ちた場合、巻き上げられた塵が太陽光を遮り、数十年間の冬が訪れる。さらに、動力炉兼起爆炉の爆破は地球の地核にまで影響を及ぼし、星を内側から腐らせる。地球は消滅し、太陽系のバランスが崩れ、最悪の場合、太陽系全体が滅びてしまう。
「これで何もかも終わりかよ」
デュアルが不安定な呼吸の中精一杯の声を出す。
「宇宙は…味方してくれなかったんだね」
クアトロの目には涙が溜まっていた。
「まさしく、道化だな」
トリントンは冷たく、しかし何処か自分の無力さを嘆くように呟く。
「倒すべき相手を倒しても、何も変わらないというのか…!」
五神が時代の方向性を憎むように、力を込めて声にぶつける。
「俺たちの…負けだ…」
フアラは声色一つ変えず、しかし、無感情というより、絶望といった感じの声で操縦桿を手前に引いて、ウイングオメガを沈黙させる。
サユイラは指先一つ動かさずに、ただモニターを見つめていた。
その目には、希望が見えていた。
「勝手に諦めてんじゃねェよ!!!」
突如、静かになった回線にデュアルの怒鳴り声が響いた。
「最後まで戦いぬけ!そして勝つんだ!!」
トロワが珍しく声を荒げる。
「勝利を創造しろ、ウィンクラフト!!」
ピースミリオンUに帰艦したミシェルが、ゆっくりと話す。
「『ターンモード暁』ダウン」
サユイラのボイスコントロールでエピオンXが元の青と白に戻る。
「サユイラ…?」
唐突に作業を始めたサユイラにエルヴは疑問を込めて名前を呼ぶ。
「ピースミリオンUより『エピオン・ド・パック』を射出」
ピースミリオンUの格納庫の回線がエピオンXから、否、サユイラから一方的にコントロールされ、積んであった試作段階の戦闘機のようなものがエピオンXに向かって射出された。
「エピオンXをウイング装備に換装」
エピオンXの翼がバックパックごと剥がれ、射出された戦闘機『エピオン・ド・ウイング』が変形し、エピオンXの背中にドッキングする。
「ナノ・ディフェンサー最大濃度」
ブレイムのナノ・ディフェンサー濃度が上昇し、黄金に輝く。
「い
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