第四章
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はい」
「大体中国の吸血鬼はそうした獰猛なものです。ですがあの犠牲者には傷は二つしかなかった」
「ええ」
「身体は綺麗でした。それを考えると中国の吸血鬼ではありません」
「そうですか」
「そしてどうも古来の吸血鬼ではないような気がします」
「といいますと」
七尾刑事も大森巡査もそれを聞いて身を乗り出してきた。
「一体どんな奴なのでしょうか」
「あくまでまだ確証は得られておりませんが」
役はそう断ったうえで述べた。
「喉にあった傷は二つですね」
「はい」
「そこに答えがあると思います」
静かな声でそう述べた。
「あの」
それを聞いて大森巡査が不思議そうな声をあげた。
「傷口が関係あるのですか」
「ええ」
「おおありですよ」
「よくわからないのですが。そこに秘密があるのでしょうか」
「映画とかの吸血鬼には牙がありますね」
「はい」
「あれは元々はなかったのです。スラブの吸血鬼には」
「そうだったのですか!?」
それを聞いて七尾刑事も驚いた声をあげた。
「吸血鬼は牙で血を吸うものでは」
「それが違うのです」
役はそう断った。
「牙はね。新しいものなのですよ」
「そうだったのですか」
「元々あの地域の吸血鬼には牙はなかったのです」
「ではどうやって血を吸っていたのですか?」
「舌です」
本郷が一言そう答えた。
「舌」
「はい」
そして自らの舌を出してその先を指差してみせた。
「舌の先にね。針がありそこから吸うのですよ」
「はあ」
「ですから傷は一つとなります。あの遺体には傷は二つですね」
「はい」
刑事がそれに頷いた。
「どの遺体もそれは同じです」
「そうですか」
二人はそれを聞いて考える顔をした。
「やはりスラブのものではないようですね」
役が言った。
「そういえば神戸には外国人が昔から多いですね」
「はい」
「大体ここにいる華僑の人やアメリカ、イギリスから来ている人が多いです」
「成程」
役は考えながら呟いた。
「イギリスですか」
呟きながら何かに気付いたようであった。
「何かあるのですか」
「いえ」
役は一呼吸置いてから述べた。
「イギリスにもそうした話がありまして」
「本当に世界中にあるのですね」
「血は元々生命の源と考えられていましたからね」
彼はそう述べた。
「だからそれを糧とする邪な存在の話も多いのです。それが吸血鬼なのですが」
「はあ」
「アメリカにもありますけれどね。ただどうもイギリスのそれの方が可能性はありますね」
「牙からですか」
「ええ」
彼は答えた。
「あくまで今の時点では予想ですが。可能性はありますよ」
「ふむ」
「実際にこの目で見なければ一体何かわかいrませんが。昨日
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