第四十九話〜傷跡と交渉〜
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ていた。ここまでの瞳をライは一度も見たことがなかったのだ。
その瞳に飲まれそうになる自分を押さえつけ、ライは続きを口にした。
「名前が売れるほどの犯罪者をかばうことができるのは少なくとも管理局のトップ。それも佐官程度の権力では足りない。将官クラスの権限がいる。だが、今回の襲撃はその将官以上が被害を多く被っている。これは大きな矛盾だ。ここから考えられるのはこの襲撃自体がシナリオの一部か、若しくは貴方が裏切ったのかどちらかだ」
「…………くっくっくっ、そこまでは正解だよ。それで、どうして最初の質問をしたのかな?裏切りを行うのは人間としてごく当たり前の行為だよ」
出来のいい生徒の更なる答えを聞き出すようにジェイルは言うが、ライは詰まらなそうにそれに答えた。
「その芝居じみた言葉を信じるほうが難しい。貴方は人間を知識として知っているだけで、人になることが出来なかった人間。僕にはそう見えたから最初の質問をしたんだ」
「…………ははははははは!最初はただのイレギュラーだと思っていたが、ここまでとはね!」
そこからジェイルは自分を語った。自分という存在がアルハザードという失われた伝説の世界の技術を使い、造られた『無限の欲望/アンリミテッドディザイア』と言う存在であるということを。それにより自分は知識欲が貪欲な存在になっていることに。
そして話の途中で管理局のトップである、最高評議会が自分を生み出したこともジェイルは語った。
大凡、自分のことを語った彼は満足げに頷きライの方に視線を戻す。
「理解できたかな?私という存在が」
その問いに頷き返し、ライは再び考え込む。考え込むライを見たジェイルはライが口を開くのを待った。今度はどんなことを彼はしでかしてくれるのかと、期待を込めて。
だが、ライの口から出てきたのはジェイルにとって面白くもなんともない事であった為いささかがっかりしていた。
「取引だ。今回の件で貴方を支援……いや、貴方が把握している汚職をしている管理局員のリストを引き渡して欲しい」
「そんなつまらないことを君は求めるのかい?管理局の老害どもと同じく正義を唱えて?」
「自分にとって邪魔になるから排除する。ただそれだけだ」
その答えはお気に召したのか、ジェイルは口角を少しだけ上げた。
「それと、ルーテシア・アルピーノ、ゼスト・グランガイツ、烈火の剣精アギトの3名を貴方の目的に利用するのはやめろ」
「ふむ、その内の2名は行方知れずなのだがね。それよりもこちらに対するメリットを上げてもらえないのかな?」
ライはあの3人が目の前の人物と好意的な関係を築けているとは考えることができなかった為に、カマをかけたのだが、案の定であった。
元々そんなものを求めていないく
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