第四十九話〜傷跡と交渉〜
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れすらも楽しむようにジェイルは言葉を続けていく。
「くっくっ……話を戻そう。なぜ僕が君をここに連れてきたかだったね。言ってしまえば簡単なことだけどね、君と話すためだよ」
「……」
ジェイルの冗談のようでいて本気なその言葉にライは数瞬黙り込む。そして自分の考えを纏めながら口を開いた。
「貴方は人か?」
そのライの言葉に初めてジェイルは驚いた表情を見せる。だが、それは質問の内容が以外で驚いたというよりも、ライが使った言葉の意味を理解できたからこそ驚いたというような風であった。
「何故その質問を?」
「貴方には勝つ気がない」
ジェイルの質問に間髪いれずに答えるライ。それは確信を持っているが故の断定口調。
「目的が云々以前に貴方の持つメリット、デメリットが破綻している」
「……」
「最初は武器関係の密売人だと思った。だが、貴方が襲撃により管理局の力の大半を削ぐことで、管理局に対する敵対組織は新兵器がなくても管理局に拮抗できる状況になる。ならば、無駄に資金で高価な新兵器を使わずにこれまで使っていた信頼できる武器を揃える方が理にかなっている」
「……ふむ」
「次に思い浮かんだのは科学者としての犯罪。最初の予想が外れた時点でこれが最も有力な予想になった。しかしこれにも穴がある」
「ほう、何かね?」
「科学者としての成果を評価するのなら自分のオリジナルでなければならない。そしてそれに拮抗しうる比較対象が必須だ。ガジェットはともかく、ナイトメアフレームを使用したことでこの予想が外れた」
「なるほど」
「最後に浮かんだのは管理局が用意した必要悪としての存在」
その予想を口にした瞬間、ジェイルの眉がピクリと動いた。そのことにライはもちろん気づいていたが、気にせず言葉を続けた。
「ガジェット、戦闘機人、ナイトメアフレーム。前者2つは知らないが、最後の1つは運用に少しでは効かない程の資金と資材が動く。この世界のセキュリティがどれほどのものかは知らないが、ヴィヴィオが輸送車から脱走しただけで手掛かりが見つかるようなものでは余程大きな後ろ盾がなければ活動できない」
ライの言った通り、元の世界でもブラックリベリオン後の疲弊した黒の騎士団は中華連邦とインド軍区と言う国の後ろ盾があったからこそ活動を続けられていた。
「そして長期の指名手配にも関わらず活発的な活動ができ、捕まることもないと聞けば出来レースを考えるのは当然のことだ」
ここでライは一旦言葉を切る。それはジェイルの反応を伺おうとしたが故の間であったが、彼を見てライは一瞬息を飲んだ。
「どうしたんだい、早く続きを聞かせてもらいたいな」
ジェイルの瞳はどこまでも純粋で、どこまでも濁っ
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