暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第四十九話〜傷跡と交渉〜
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 自分の中に溜め込んだものを吐き出せた事に満足したのか、そこにはすっきりとした顔のスバルとティアナがいた。

「ライさんは絶対に無事!」

「それで、ライ兄は私たちが見つける!」

 よくわからない結束の形を見せた2人に周りの3人はため息をついていた。



スカリエッティアジト


 襲撃を行った張本人である戦闘機人たちは束の間の休息を取っていた。
 その内の大半はリラックスした表情をしているのだが、その内の2人は不機嫌な顔をしていた。

「いい加減にしろ、ウェンディ、ノーヴェ」

 いつまでもそんな表情をされているのも迷惑ということで、戦闘機人の中でも姉的な位置にいるトーレがそう声をかけた。

「う、すいませんっす」

「……」

 空気を悪くしている自覚はあったのか、ウェンディは素直に謝り、ノーヴェは顔ごと視線を逸しす。

「事情は聞いている。チンクの事や兄のことで気に止むのをやめろとは言わないが……」

 2人の態度にやれやれといった風な姿勢を取るトーレの後ろから、どこか楽しそうに空中投影ディスプレイとコンソールを弄っているクアットロが言葉をかけてきた。

「まぁ〜、死にそうになった原因がお兄様であり、そして助かった原因もお兄様なんですから無理もありませんわよ?トーレ姉さま」

「「……」」

 クアットロの言葉で再び2人は黙り込んだ。
 彼女の言葉通り、彼女たちをあの地下の崩落から救ったのはライであった。しかも、ライは気絶したノーヴェとウェンディだけでなく、自らの攻撃で深手を負ったチンクも助け出していた。

「何にしろ、チンクも兄も無事なんだ。今はそれで納得しろ」

 締めくくるようにトーレが最後に言葉を残す。
 実は、ライはチンクの最後の抵抗で相応の深手を負った状態で、彼女たちを助けたのだ。だが、それはほぼ自分の身を盾にした救出であった為に、ライは崩落から抜け出した4人の中で最も深い傷を負ってしまう。そして、地下からの脱出には成功したのだが、血を大量に失ったライは地上に出ると同時に意識が落ちていたのである。そして4人の位置を正確に把握していたスカリエッティ側は彼らを回収し、手当を施していた。
 今この時も、チンクは戦闘機人用の医療ポッドで、そしてライは部屋の一室のベッドの上で眠り続けていた。
 トーレの言葉を最後に、その部屋にいた戦闘機人である彼女たちは各々自分がしたいことをし始める。そんな中、コンソールを弄っていたクアットロの呟きは誰の耳にも入らなかった。

「あら、お目覚めかしら?」



一室


 沈んでいた身体の感覚が浮き上がる感覚を感じ、ライは自分の意識が覚醒する実感を得る。どこか胡乱な思考で、まずは目を開けた時に視界に映った天井を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ