第四十九話〜傷跡と交渉〜
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罪悪感から言葉を発せないでいた。
ライの予測していた通り、今回の襲撃で狙われたのは管理局のトップだけではなかった。レリックとヴィヴィオという研究素材の捕獲。そして今回のレリック事件において最大の障害になり得る機動六課の排除。それが今回の襲撃目的に含まれていた。
管理局の崩壊を防ぐために設立された組織が、敵の目的の一つになるとはなんとも皮肉な話である。
そして襲撃の結果、隊舎は短期間での復旧は難しい程の損傷を負い、フォワード以外のスタッフが重軽傷を負うという手痛い被害を受けることとなった。
いつまでも続くと思われた、その部屋の沈黙は来訪者のノックにより破られた。偶々一番近くに座っていたエリオが扉を開けると、軽食が入った袋を持ったティアナが入ってくる。
「ティアナさん」
「目が覚めたって聞いたから、お見舞いと差し入れ」
手に持っていた袋をエリオに渡し、ティアナは未だに反応を見せないスバルの近くに立つ。
「怪我が軽いようで安心した」
「……」
「それで、いつまでそうしているつもり?」
「……」
「まさかとは思うけど、ライさんが行方不明になった原因は自分にあるとでも考えてるの?」
そのティアナの言葉に一瞬スバルの肩が震えた。それを目にしたティアナは一度ため息をつく。そして――
「自惚れんじゃない!」
力限りの言葉で怒鳴りつけた。
その声に今まで沈んでいた全員がティアナに視線を向ける。そんな視線を気にも止めずティアナは言葉を続けた。
「あんた1人がいなかったところで今回の事件にそんなに大きな変化なんてない!
ライさんが行方不明になったのはあの人の判断が招いた結果だった!
まずはそれを受け入れなさい!」
ティアナが言い終えると同時にスバルは立ち上がり、同じように叫び返した。
「それでも!何か出来ることはあったんだよ!その為に毎日訓練してたのに!
大事な時にそれができなかったんだよ!それにライ兄は何も悪くない!」
既に感情に任せた言葉であるせいか、スバルの言葉は滅茶苦茶である。
「あの人の非を周りが認めてあげないでどうするのよ!
ライさんもその親友のルルーシュさんも周りが祭り上げていったのが原因でああなったんでしょうが!」
スバルに応えるように怒鳴るティアナの言葉も論点がズレてきている。
「ライさんが出来ないことを私たちがしなきゃならないんでしょーが!」
「ライ兄ができないことなんてない!」
もう完璧に話の論点が外れている。
これまでポカーンと事の成り行きを見ているしかできていなかった、エリオ、キャロ、ギンガの3人が2人を止めるまで2人の怒鳴り合いは続いたのであった。
〜二十分後〜
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