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港町の闇
第二十六章
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した時は優しかったのに今では鬼のようですよ」
「鬼、ですか」
「ええ。それが何か」
「いえね、今まで仕事で鬼退治をしたこともありまして」
 本郷が応えた。
「鬼女と戦ったことがありますが」
「鬼女ですか」
「はい。署長さんの奥さんもまさか」
「とんでもない」
 署長は口を尖らせてそれを否定した。
「私には鬼でも子供達にとっては仏様なのですから。そんなことはしないで下さいよ。頼みますよ」
「なら仕方ない」
 本郷はおどけてみせた。
「それじゃあそっちはなしということで」
「はい」
 丁度そこに電車の到来を告げる放送があった。三人はそれに反応した。
「では名残惜しいですが」
「また御会いしましょう」
「ええ」
 こうして一同は別れた。三人は礼を済ませた後電車の中に消えていく。
 扉が閉まり電車が発進する。そして神戸での戦いは完全に幕を降ろしたのであった。主役達が舞台を降りたことも以って。


港町の闇   完


                  2005・6・5

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