第39話 修学旅行−2日目− その1
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
さて、木乃香の誘拐未遂が起きた夜も明け、修学旅行2日目である。
清水寺で酒を飲まされた生徒達にも元気が戻り、中学生の集団らしい朝食を班別で摂っている。
なお今日の予定は一日奈良で班別の行動だ。
事前に提出されてある許可された範囲内で、各々生徒達が自由に行動することになる。
オレ達先生達は統括の新田先生を除き、それぞれの班が見学する施設などを時間を決めて見回ることになる。
決して目の前のネギのようにどこかの班と一緒に行動して見学するようなことはしないんだ。当たり前だが。
生徒達と同じ行動するのではなく、あくまで生徒達を見守るのが先生にとっての修学旅行なのだから。
もっとも今のネギは先生でも教生でもない休暇中の同僚でしかないので、他の先生方も含めてネギの行動はスルーしているが。
☆ ★ ☆
事前に他の先生方と計画したとおり観光名所を廻る。
若干寂しいと思わないでもないが、そこそこに顔が知れているオレは「先生、一緒に廻ろう」と現地でよく誘われるので、そこの観光名所だけだが誘われたら一緒に廻り、楽しいひとときを過ごす。
そんなことを繰り返し、若干騒がしいという程度で特に問題もなく昼も過ぎる。
問題があったのは生徒ではなくオレの方だった。
「で、そろそろ出て来ないかい?」
昼飯を食べ、少しまったりする時間を取ってあったので、人目のつかない場所でそう声をかける。
ちなみに声をかけたのはどこにでもありそうな水たまりだ。
そう声をかけただけで十分通じたのだろう、その水溜りからオレと同年代の子供が姿を表す。
上下灰色の詰め入りを着込み、真っ白な髪、ハイライトが抜けた瞳をした少年は、オレをじっと見据えていたが、やがて口を開く。
「よく、僕の居場所がわかったね」
「いや、さすがにあれだけわざとらしく気配を出されれば誰でもわかるよ。さて、まずは自己紹介からか。オレは遠坂暁。中部魔術協会所属の魔術師だ」
「くくくくっ。君のお兄さんは朝から見てたがまったく気付かなかったようだけどね。一応フェイト・アーウェルンクスと名乗っている」
「アーウェンクルスね………」
といかにももったい付けたような振りをしているが、心臓の方はバクバクしている。今回遭遇するかと思っていたがどうやら本当に遭遇してしまったらしい。
オレの死亡フラグに。
不幸中の幸いと言えるのは周囲に迷惑をかけそうな人がいないということか。
「で、魔法世界でご活躍中の「完全なる世界」のエージェントさんが何用で?」
「き、君は?」
どうやらフェイトの正体をいきなりばらすことで
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ