第一物語・後半-日来独立編-
第五十二章 その場所へ想い走らせたならば《3》
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実之芽は戦闘艦が背に来るようにセーランに攻撃を行うが、理解しているセーランはそうならないために動いていた。
攻撃は当たっているが、手応えはない。
思いが流魔を活性化させるのならば、何故自分のは活性化しないのかと実之芽は思った。
自分は奏鳴を守るためここに立っている。
解放されることを奏鳴は望み、最後の約束を交わした。だからせめて、最後まで奏鳴を守ると決めた。
消えることが怖くて、泣いていたあの時に、なんて世界は理不尽なのだと思った。
運命を壊せるのならばやっている。
こんな運命などいらないと、言って運命が変わるのであれば言っている。
しかし現実は違う。
定められても定められていなくても、運命と言うものはやって来る。
嫌な運命だろうと、やって来てしまうのだ。
これから来る運命に対して対処は少なからず出来るだろう。だが、既に目の前に来た運命は受け入れるしかない。
目の前に来て変えられる程、現実と言うものは甘くない。
容赦無く非情な選択を迫り、心身共に疲れさせる。
努力など容易く消し飛ばされ、その上で過酷な現実を突き付ける。
こちらをあらゆることから諦めさせるように、ここぞと言う時に。
どうしたらいいか分からない。
奏鳴を守ることを貫いている今も、果たしてこれが正しいのかと心が揺れ動く。
日来の長は心を見透かしているようで、気に食わなかった。
彼の笑みには、裏があるような気がして嫌だ。
こうして攻撃している時も、こちらの目を見てくる。
拳を掴まれた時とは違い、直視するように。
何がしたい。
勝つ気はあるのか、倒す気はあるのか。
問いを拳に込め、流れのなかで放つ。
セーランは拳を身体から逸らすだけで、それだけだった。
蹴りも同じだ。
自分からは何も仕掛けない。
こうしている間にも、解放の時間は迫って来ているというのに。
至って冷静に、セーランは実之芽に向かって言う。
「本当に倒す気はあるのか」
心を見透かされた。
嫌だったから、一度距離を離した。
離れれば、心を見透かされることもないと思って。
しかし、それは間違いだった。
「前の方が、お前を倒すぞって感じがあったんだよな。でも今はそれが無い。むしろ時間を掛けて、ここに留めておくような戦い方だ」
だからセーランは間違いに気付いた。
「間違ってたわ。俺は強くなってんじゃなくて、お前が弱くなったんだ。倒す気が湧かなきゃ、本気なんて出せるわけないもんな」
返事は返ってこなかった。だからセーランは続けた。
「本当は迷ってんじゃねえの? これで本当にいいのかって、疑問に思ってんじゃねえのか。
自分が選んだ答えはこれでいいのか、悔いは無いのか。それを選んでよかっ
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