第一物語・後半-日来独立編-
第五十二章 その場所へ想い走らせたならば《3》
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ない。
振り向くセーランを、実之芽は確かに見る。
セーランが振り向き、口が開くのも。
「簡単なことだ。流魔は思いが強ければ強い程活性化する。お前の雷よりも、活性化した俺の流魔によって創られた盾の方が強かったってことだ」
「そんな、ありえない。目に見える流魔の変化は狙って起こせるものではないわ。それに流魔の活性化だけで、神化系術の攻撃を止めたっていうの。無茶苦茶だわ」
「ちょっとした細工はあるが、それ無しにしても不思議じゃないだろうよ。想い人が殺されるんだ。助けたい、て気持ちで流魔が活性化する。誰でもそうだと思うけどな」
「ほんと、気に障る人ね」
「俺の方がお前よりも今は強いってだけの話しだ。今の俺は誰にも負けねえ。人だろうと魔物だろうと神だろうと、定められた運命気に入らなかったらぶち壊すだけだ。
ただ単に運命に流されるのか、お前は」
なんであんなにも強いのだろう、実之芽には理解出来無かった。
何も変わっていない。
彼は何も変わっていない。
なのに、こんなにも強い。
前に闘った時は正直生温いような感じがして、自然と手を抜いてしまった。
強いとは到底言えない、ただの人族だと思った。
だが、今この場にいる彼はなんだ。
睨み付けるようき目尻を尖らせ、口調も前のような緩い感じではない。
本当に、前に自分が闘った日来の長なのか。
「なんとかくだけどさ、お前……色々背負い過ぎなんじゃねえの。頑張らなきゃって、自分に言い聞かせてるみたいなんだよな」
表情を緩ませ、
「本当は宇天長、救いに行きたいんじゃねえのか」
「分からないわ……貴方なんかに……」
「なら教えてくれよ。もし嫌ならさ、前みたいにぶつかって来いよ。どんな攻撃を食らっても、俺はお前の目の前に立ってるからさ」
なんで笑える。
先程までとは違う、笑みを得た表情をした。
読心術でも会得しているのか。
変わっていない。
表情は変わっても、彼自身が変わったわけではない。
直感で解る。
今の彼は確かに自分より強いかもしれないと。
力は上、戦闘経験も上な筈なのに何故かそう感じた。
ならば彼の強さとは、一体なんなのか。
踏み込み、無言の乱撃を行う。
認めたくはなかった。
あんなへらへらした者に、自分が劣るなど認めたくはない。
実之芽は思考が動くよりも先に、行動で思考を吹き飛ばす。
腕を、足を、身体を動かし、無双と言える攻撃をセーランに対して行った。
風を割き、身体を動かし。雷鳴と共に雷撃は走り、昼間の地上に光が眩い照らされる。
一方のセーランは防御のみで、一切の攻撃はしなかった。
代わりに時たま流魔操作によって創った棒を、地面に刺していった。
組手を行うように一撃一撃を避け、素早い足さばき
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