第二十四章
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がそれに対して言う。
「貴様は今ここで敗れる。それを見せてやる」
「ふ」
役に対しても不敵に笑い返す。
「楽しい夢を見ておくがいい。今のうちにな」
銀貨がアルノルトを貫いた。しかしやはり効果がなかった。
銀貨は彼を貫いただけであった。傷口はすぐに閉じられてしまう。やはり恐るべき回復能力であった。そして銀貨の無力さだけが伝わった。
「駄目か」
警官達はそれを見て落胆の言葉を漏らした。
「やはり無理か」
「神戸はこれで終わりか」
「終わりではありませんよ」
神父が彼等を励ますようにして言う。その目はアルノルトを見据えたままだ。
「よく言いますね。諦めたらそれで終わりだと」
「ええ」
「そういうことです。決して諦めてはいけませんよ」
「しかし今は」
「頼みの銀貨も効果がないのにどうやって」
「あの銀貨が効かないということはないのです」
神父はそう答えた。
「決してね。何かしらの魔法が彼にかけられていない限り」
「魔法が」
「はい」
そこに答えがあった。
「おそらくは。そこにあるのではないかと」
「魔法、ね」
それは本郷も聞いていた。そして役も。
「こいつの魔法は実に多い」
今までの戦いを振り返りながら着地する。そこに髪の槍が来た。
「この槍に」
それを刀で打ち払う。打ち払いながら考える。
「分身、姿も消していたな」
中華街での戦いだ。他にもあった。
「特に血を使う。使い魔を出したり、それに」
「魔法陣」
二人はそれに気付いた。役はすぐに本郷に目配せをする。
(それだ)
(ええ)
本郷もそれに目で応えた。そして二人はすぐに動いた。
「ふむ。同時に来るか」
その動きを見てアルノルトはそう考えていた。だがそれは違っていた。
「出でよ、我が僕達よ」
役がまた懐から式神を取り出してきた。そしてそれを投げる。
「邪悪なる者を退けよ!」
「何度でも言おう」
アルノルトは鳥となったその式神達を見ながら言った。
「今の私にはその様なものは通用しないとはな」
「俺も何度でも言ってやるぜ」
本郷はその後ろから言った。
「今の御前にはな。そう、今の、だ」
「今の私を倒せなくては意味がないだろう」
「今の貴様を倒す必要はないさ」
「何っ」
「これからの貴様を倒せばな。こうやってな」
そう言いながら今度は小刀を投げた。だがそれはアルノルトを狙ったものではなかった。
「むっ!?」
それは床を狙っていた。そう、床を。
「まさか」
「どうやら図星だったようだな」
眉を顰めたアルノルトを見て本郷はニヤリと笑った。
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