ルームメイトは緑髪の眼鏡っ娘 その三
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「んなわけないでしょ。お礼よ、お礼。あんたのおかげで一夏が助かったから」
凰鈴音は照れるような表情を見せると、そのあとに顔を逸らす。
「そのおかげで俺はこのザマだけどな。ところで今の時間解るか?」
「もう夕方の六時よ」
俺はそんなに寝てたのか。
顔を窓の方に向けると、確かに日は傾きかけた太陽が空をオレンジ色に染めていた。
椅子が床を滑る音がする。
見ると、凰鈴音は椅子から立ち上がっていた。
「先生呼んでくるから」
そう俺に告げると医務室の入り口へと向かう。
そしてドアを開け廊下に出るとこちらに振り返る。
「あたしのことは鈴って呼んでいいわよ。あたしもアンタのことはアーサーって呼ぶから」
微笑を浮かべ、じゃあねと言って手を振り、俺の前から去っていった。
鈴の微笑を見るためにずいぶんと大きな犠牲を払ったもんだ。
しばらく待っていると織斑先生と山田先生がやってきた。
織斑先生は俺の顔を覗きこむと、
「具合はどうだ」
と聞いてくる。
「まだ胃がムカムカとしてますけどね」
「凰さんから話は聞きました。あまり無茶はしないでくださいね」
山田先生は真剣な顔で言ってくる。
「了解」
「ところで、ベインズ。これからのことだが……」
「これからのこって何ですか? 織斑先生」
「お前の部屋のことだ」
「そういえば、まだ聞いてなかったですね。俺の部屋はどこです? 一夏と同室ですか?」
「いや、お前の故郷、イギリス本国からの要請で一夏とは一緒の部屋に出来ない」
「理由を聞いていいですか?」
俺の質問に答えてくれたのは山田先生だ。
「はい。警備上の問題だそうです。男のIS操縦者は貴重ですからね。いくら警備の厳重なIS学園でも、もしものことがあるからってことです。リスク回避の観点からもそうしたほうがいいとIS学園側も判断しました」
「俺は一人部屋ですか?」
「それなんだが……悪いが寮の部屋の調整が上手くいっていない。いかなり転校生が三人来たからな。まあ、仕方がないだろう」
「じゃあ、どうするんです? 俺」
「山田先生の所で世話になれ。教師の寮ならイギリスも文句を言ってこないだろう。寮の調整が済むまでの間だ、長くはかかるまい。今はそれで我慢しろ。それに、あの茶番をやらかすほど山田先生のことが好きなんだろ? 今日から同室なんだ、仲良くやるんだな。言っておくが、いくら大好きだからといっても間違いだけは起こすなよ。部屋へは今から山田君に案内させる」
一気にまくし立てるように言った織斑先生は、呆気に取られている俺を、からかうような笑みを残して去っていった。
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