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万華鏡
第四十二話 運動会前にその十一

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「どうでもね」
「問題はどうして受けるかよね」
「そうよ」
 部長は書記にも答える、書記は決定したことを書いてから自分の席に戻っている。
「それが問題なのよ」
「受け狙いね」
「時としてそれを求めるのも大事でしょ」
 部長は真顔でこうも言った。
「世の中は」
「まあそれはね」
「その通りね」
 副部長だけでなく書記も部長の言葉に応える。
「部活も注目されてこそだからね」
「注目されて部員も集まるから」
「そう、だから運動会では受けを狙うわ」
 それを全面に出すというのだ。
「だからこれでいくわ」
「よし、じゃあゆるキャラで」
「軽音楽部はね」
「言っておくけれど運動会で終わりじゃないからね」
 部長は部員達にこう釘も刺した。
「それはわかってるわね」
「はい。文化祭ですね」
「それがありますね」
「そっちが本番だからね」
 このことはこれまで以上に強く言う部長だった。
「そっちはガンガン演奏もするから」
「ですね。それじゃあ」
「文化祭は」
「怪我をせず病気にもならず」
 部長は健康管理にも言及した。
「そうしていってね」
「怪我、ですか」
「それと病気に」
「健康第一よ」
 部長はこのことはこれまで以上に強く言った。
「人間はね」
「ううん、だからですか」
「病気はですか」
「野球でもサッカーでも怪我をしないことが第一でしょ」
 故障の多い選手はそれだけで使うことが難しいということだ、だから衣笠祥雄はファンからもチームからも尊ばれたのだ。
「だからね」
「じゃあ深酒もですか」
「あと無茶も」
「そうよ、お酒も飲んでいいけれど」
 部長もかなりの酒好きだ、だからこのことは止めなかった。
 だがそれでもだ、その酒の飲み方がだというのだ。
「毎日浴びる様には飲まないの」
「ちゃんと休肝日を設けてですね」
「そうして飲まないといけないんですね」
「そう、無茶はしないで」
 絶対にというのだ、このことは。
「あと交通事故にも気をつけて」
「それと体育の授業もね」
 これは副部長の言葉だ、学校の授業でも怪我をすることがあるからだ。そして副部長はこの時についても言及した。
「部活の時もね」
「その時もですか」
「無茶をせずに」
「そう、それと体育や部活の前はちゃんと身体をほぐしてね」
 これで身体も温めて、というのだ。
「それは御願いね」
「ストレッチですね」
「そうよ」
 琴乃が右手を挙げて問う、すると副部長はすぐに答えた。
「準備体操もね」
「ちゃんとしてからはじめるんですね」
「演奏の時もそうよ」
 その時もだというのだ。
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