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万華鏡
第四十二話 運動会前にその九

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「これは」
「駄目よ、怖いから」
「じゃあ怨霊一家は」
 館長は悪ノリしたのだ、そしてこのキャラの兄妹や両親、恋人、祖父母まで考えたのだ。デザイナーはその怨霊の発案者だ。
「駄目ですか?」
「石投げられるわよ」
 あまりの不気味さ故にというのだ。
「それでもいいの?」
「いや、それはちょっと」
「でしょ?だからね」
 通称奈良の怨霊は却下したいというのだ、部長としては。
「止めておきましょう」
「そうですか」
「私奈良県民だけれど」
 そこから神戸の八条学園に来ているというのだ、当然寮生である。
「これ嫌なのよ」
「奈良県民としてもですか」
「全く、他はなかったのかしら」
 他にいいキャラはというのだ。
「あの博物館の館長悪趣味よね」
「じゃあこれは」
「他のキャラにしてくれる?」
 こう一年の娘に言うのだった。
「御願いだから」
「じゃあ同じ奈良で和紙爺で」
 奈良に本社のある八条印刷だ、奈良は和紙も作っているので和紙の頭の人のよい爺様をゆるキャラにしたのだ。
「それで」
「じゃあそれね」
「はい、これにします」
「それならいいわ」
 奈良県民の部長としてもだというのだ。
「あれは駄目だけれどね」
「それじゃあ」
「まあ可愛いのがいいんじゃないかしら」
 部長は自分では挙げないが自分の好みは出した。
「やっぱりね」
「まあゆるキャラは可愛いですよね」
「それが売りですから」
 部員達もこう返す。
「やっぱり」
「皆そうですよ」
「可愛いっていってもね」
 それでもだというのだ、部長は部員達に。
「あれよ、キモ可愛いじゃなくて」
「普通に可愛いのがですか」
「それがいいんですね」
「そう、それがいいでしょ」
 こう部員達に言うのだ。
「キモ可愛いのよりもね」
「普通に可愛いのがですか」
「いいんですね」
「私的にはね」
 こう願いを言う、それを受けて。 
 部員達もそれぞれ顔を見合わせてそれからあらためてそれぞれゆるキャラを挙げていった。最終的には二十程挙げられた。
 その二十程のキャラの名前、ホワイトボードに書かれたそれを見てだ、部長はここでも部員達に言ったのだった。
「じゃあこの中からね」
「五つですね」
「五つ選ぶんですね」
「そう、ただそれはね」
「それは?」
「それはっていいますと」
「あくまで走るキャラ達だから」
 リレーに参加する面子はというのだ。
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