第二十二章
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た。
「これ位はね。では気を取り直していきましょうか」
「はい」
三人を先頭に中に入った。警官の一人が電灯で屋敷の中を照らそうとする。だが役がそれを制止した。
「その必要はありませんよ」
「何故ですか?」
「これがありますから」
彼はそう言うと目の前に火の玉を一つ出した。そしてそれを複数出してきた。
「これで暗くはないでしょう」
「はあ」
火の玉は一人に一つずつついた。これで屋敷の中は明るくなったのであった。
一向はあらためて中を見回した。そこは荒れ果て、まさに廃墟であった。
壁は朽ち絵が床に落ちていた。その床も苔や虫食いだらけであり赤絨毯は妙な色に変色してしまっていた。
階段の手摺りの木々もまた同じであり腐り一部破損していた。階段ももう一歩踏み込めばそれだけで底が抜け落ちそうであった。
「雰囲気が出ますね」
「ええ」
シャングリラも所々割れている。中には床に落ちて完全に割れてしまっているものもある。暗がりの中に見える部屋の扉も腐り、穴が開いているものもある。確かに何かがいてもおかしくはないような屋敷であった。
「あの吸血鬼だけじゃなく他にも何かいそうですね」
「いそうではなくいますよ」
役が警官の言葉にそう応えた。
「えっ」
「ほら、そこに」
役がある場所を指差した。するとそこに何か得体の知れぬ者達がいた。
「ひっ」
その警官はそれを見て思わず悲鳴をあげた。それは一匹の狼であった。
役はその狼を拳銃で撃った。それにより狼は動き出す前に額を撃ち抜かれその場に崩れ落ちた。後には血溜まりだけが残されていた。
「あの吸血鬼の使い魔ですよ」
役は拳銃の銃口から煙を出させたままそう答えた。
「あの吸血鬼は自分の血から使い魔を出すことができましてね」
「使い魔を」
「はい。今の狼もそれです。ファミリーパークでも戦いましたから」
「そうだったのですか」
「おそらくこうした連中はまだまだ出てきますよ」
「ですから気をつけて下さい」
「わかりました」
そんな話をしながら中を進む。実際に蝙蝠や蛇、烏等が彼等に襲い掛かって来た。だが彼等はそれを何なく退けていった。
本郷と役だけではなかった。神父もいた。彼は十字架と手に持つ巨大な剣でアルノルトの使い魔達を退けていった。その剣は面白い形をしていた。見たところ巨大な十字架に見えるのである。
「トゥハンドソードですね」
「はい」
本郷に対して答えた。これはドイツでよく使われた大型の剣である。本来は両手で使うのだが彼はこれを片手で使っていた。そしてもう片方の手で銀の十字架を投げていたのだ。
「これが一番ですよ。魔物を倒すのは」
だが今は屋内である。こうした巨大な武器を使うには不利な筈である。だが彼はこの剣を何なく使っているので
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