真実は悲しき氷の刃
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のだが。
リオンは少し顔を俯かせ、グレイに歩み寄った。
「グレイ・・・」
「リオン・・・だからもうこんな事は・・・やっ」
「やめろ」と言いたかったのだろう。
だが、グレイの口から出たのは言葉ではなく・・・血だった。
「知ってるさ。そんなくだらん事」
リオンが氷の剣でグレイの右わき腹を刺したのだ。
「あれはもはやウルではない。ただの氷クズだ」
そう言うリオンの顔は、笑っていた。
何かに憑りつかれているような、歪んだ笑みが・・・。
ブシュッと音を立て、剣がグレイから離れ、消えた。
ドッとグレイが倒れる。
「お、お前・・・し・・・知って・・・た・・・のか・・・」
「お前だって本気で信じてる訳では無かろう。ウルが生きているなどと」
「ぐう・・・う・・・がっ・・・」
「早く大人になる事だ」
「知ってて・・・こ・・・こんな事を・・・」
痛みに耐える様にグレイが荒く息をしながら途絶え途絶えに呟く。
「グレイ!待ってて、今すぐ治すから・・・」
そう叫びながらグレイに近づくルー。
そしてルーは、凄い光景を目の当たりにするのだった。
「待ちやがれーっ!この仮面野郎ー!」
「ほっほっほっ」
「どうやって元に戻したんだーっ!」
一方こちらはザルティを追うナツ。
ザルティはバッと天井に右手をかざす。
すると、天井がガラガラと音を立てて崩れ始めた。
「こんなモン・・・効くかーーーー!」
が、ナツは足に炎を纏い、一蹴りして吹き飛ばす。
それを見たザルティはくいっと再び手を動かした。
次の瞬間、ぶあっとナツが吹き飛ばした瓦礫が空中へと舞い、天井へと戻る。
「え?」
「御覧の通り、こうやって遺跡を元に戻したのです」
「な、何だ・・・この魔法」
呆気に取られるナツに、ザルティは薄く笑って言う。
「失われた魔法の一種でございますな。その強力さと副作用の深刻さにより、歴史より抹消された魔法」
「歴史・・・?」
「あなたの滅竜魔法も然り」
そう言うと、ザルティはポォンと文字通り煙のように消えた。
「消えたーっ!どこ行ったーっ!ちくしょォォーっ!」
「え?」
ルーは呆気に取られていた。
文字通り立ち尽くし、グレイを見ている。
驚いているのは、リオンも同じようだ。
「な・・・!バカな!その傷で何故動ける!?」
そう。
脇腹を刺されたはずのグレイが、リオンを殴り飛ばしたのだ。
「限界だ」
「あ!?」
「助けてやりたかったが、もう限界だ」
言うが早いが、グレイは氷の弓を造形し、一気に3本の氷の矢をリオンに向けて放つ。
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