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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五二幕 「マイナスからゼロへ」
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何事かと驚くと同時に、先生に触られてもいつもの息苦しさを感じていない自分に気付く。そして――
「・・・お、おいベルーナ!!」
「・・・先生」
「お前、試合を見ても平気なのか!?」
「え・・・」
そういえば。リハビリの目的はISを見ても拒絶を起こさない事だった。
今、僕はIS同士の戦いを、何も感じずにただ眺めていた。
それはつまり、リハビリの結果は最悪ではなくむしろ逆。
「先生・・・僕、平気みたいです」
克服、したのだろうか。未だISに対する恐怖のすべてが取り除かれたわけではないが、確かに今の僕はISという存在と正面から向き合えている。僕は、過去の恐怖を、あの忌まわしい過去を少しだけ克服できたようだ。
「お前、お前という奴は・・・!!」
再びきつく抱きしめられた。抱かれて一つ気付いた事がある。僕は昔、まだほんの小さな子供だった頃に良く母親に抱きついていた。母はそんな僕をいつも力いっぱい抱きしめてくれた記憶がある。
ミノリに抱きしめられた時、どうして嫌じゃなかったのかを少しだけ思い出した僕は、先生をそっと抱き返した。
= =
私は奇跡という言葉が好きではない。
テレビなんかで使われる感動モノのドキュメンタリーなんかを見ると特にその思いが強くなる。壮絶なリハビリの末に症状が回復したというならば、それは奇跡ではなく頑張った人間の努力の“結果”に他ならない。それを奇跡の一言で済ませるのは、先の見えない努力を続けた人間の積み重ねを否定する一言だ。
だが、今は少しだけ奇跡という言葉を使いたがる人間の気もつが分かるような気がする。
デッケンが倒れた瞬間を見た時、まるでもうすぐ死ぬかのように弱弱しい吐息を確認した時、私は後悔した。もっと早く、無理やりにでもこいつを止めてやれればよかった。考えればわかることじゃないか、こんな小さい体で毎日のように無茶をしていれば必ずどこかで限界が来る。いくら心が強くてもそれに追いつく身体がないのではどうしようもない。だから絶対にそうなる前に止めると決めていたのに。
思い浮かべるのは後悔の言葉ばかりだった。教師として、大人として、どうしてこうなるまで止めなかったんだ。内心で諦めるべきだと思っていながらどうしてみすみすデッケンを信用してしまったんだ。
そして悔恨が私を攻め立てる中――デッケンが眠りから覚める様に目を覚ました。
何がおはようございますだ、この馬鹿。こちとらガキだった頃に見たブランダースの犬以来の涙を流すところだったってのに。しかも目が覚めたらリハビリは成功してましただと?そんな都合のいい話がある物か。
だから、認めたくはないがこれは奇跡なんだと思う。無論ベルーナの努力もこの奇跡に無関係だったわけではないのだろうが、私を泣
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