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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五一幕 「決着の閃光」
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片を固定するためについていた武装固定ラックにずっと装着しっ放しだったそれを、一夏は躊躇なく引き抜きラウラに向けてぶん投げた。
(やられた!あの爆雷は効果範囲が広すぎてAICでは止め切れない・・・!)
試合開始直後に放たれた爆雷をAICで止めなかったのは出し惜しみではなく単純に止め切れなかったからだ。それをこれほどの至近距離で放てば、確かにラウラは防ぎようがない。
だが思い出してほしい。IS爆雷はその効果範囲が広すぎる事から使用時は常に自滅の可能性を孕んだ武器なのだ。この至近距離で放てば間違いなく白式も墜ちる。
読み間違えた。佐藤さんは最初からレーゲンを確実に仕留めるために一夏を特攻させる気だったのだ。そうすれば自分は生き残れ、結果として試合に勝てる。平和ボケした日本で育った学生が、一人を切り捨てもう一人が生き残る”戦争の戦い方”をまさかこうも容易く行うとは・・・!!
白式と爆雷の動きを停止結界で止めても、爆雷は遠隔操作で強制爆発させることが出来る。この状況で生き残るにはAIC発動状態で後退しながらガードを固めるしか選択肢が残っていなかった。
そう”思わされた”のだ―――佐藤さんによって。
対IS爆雷は、爆発しなかった。試合開始前に信管が引き抜かれていたのだ―――佐藤さんの手によって。
「後は任せたぜ、佐藤さん!!」
「オネーサンに任せなさいな!・・・やっと隙を見せたね、ラウラさん?」
「・・・あぁ、成程。完全にしてやられた訳か、この私が」
わずかな時間であろうとも、それによって行動を掌握されたという事は致命の一撃を受ける隙を相手に与えたという事。ラウラの背後には―――4メートルはあろうかという巨大な砲身が待ち構えていた。巨大な冷却装置、嫌に巨大な銃口、武骨で頭が悪そうなサイズをしたそれはどこかの企業が悪ふざけで造ったとしか思えない・・・そして、見かけにそぐわぬ大火力であろうことには疑いをはさむ余地もない。ISが悲鳴を上げるように鳴らすロックオンと高エネルギー反応の警告も既に何の役にも立たない状況になり、ラウラは静かに自分の敗北を察した。
「エネルギー充填120%!!真っ赤なお花をぉ・・・咲かせましょ〜〜!!」
その瞬間、九十九式収束荷電粒子砲『
曼珠沙華
(
まんじゅしゃげ
)
』は内部に溜め込んだ莫大なエネルギーをマグマのように噴出させた。莫大な破壊力を生み出す代償に粒子砲の冷却装置が悲鳴を上げる。
血のように
真紅
(
あか
)
い破滅の光はその弾道に存在するもの全てを破壊し尽くすかのように
邁進
(
まいしん
)
し、シュヴァルツェア・レーゲンの黒い装甲ごとラウラを撃ち貫いた。アリーナ内を照らしあげた爆炎の形は、まるで死者を鎮める彼岸の花を表しているかのように美しい形に輝く。
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