暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五十幕 「囁きの黒、戸惑いの白」
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・・プログラムは全部アクティブになっている。やっぱりアレは幻覚だったのか・・・?)

すばやく全安全プログラム設定画面を閉じながら、一夏は気持ちを切り替えて佐藤さんのもとへと飛び立った。




飛び立った一夏を見上げた箒は、あと一歩の所で虚を突かれた自分の未熟を悔やみつつ、一夏が最後に放った一刀に剣士として疑問を感じていた。

あの剣には確かに強い意志が感じられた。しかし――

「一瞬だったが、あれは殺人刀(せつにんとう)・・・活人剣と対を為すものだった・・・」

考え過ぎだろうか。だが反撃してきた時の一夏の様子は何処かおかしかった。まるで自分の剣に自分で焦っているかのような・・・力に振り回されたかのようだった。それに剣は自分を映す鏡・・・その鏡が「あれは一夏ではない」と言ったのだ。ならばそこには”何か”がいたはずである。

試合の邪魔にならないよう補助員にピットに戻されながらしばらく考え込んだ箒は結局考えがまとまらないままもう一度空の一夏を見上げる。佐藤さんと合流して何かを仕掛けようとする彼の足運びはいつも通りに見えた。

「杞憂・・・であればいいが」

一応後で千冬に報告しておこうと決め、箒は試合の顛末を静観する。

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