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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五十幕 「囁きの黒、戸惑いの白」
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救いに思えて、安堵する反面複雑な気分にさせられる。
早すぎる、とはどういうことか。それを考えるよりも早く、俺の感覚が戻ってきていた。そして、それと同時に俺は自分が瞬時加速しながら雪片参型に零落白夜を纏わせ箒に突っ込んでいることに気付いた。

刃の向かう先は、当然箒の心臓。

ハイパーセンサーで箒の様子を見ると、反撃不能と確信したタイミングでカウンターをしかけてきた俺に動揺してわずかに動きが鈍っていた。これは、まずい。心臓ではなくてもこのままだと刺さる。箒の腕前を疑う訳ではないが、今の一夏には奇妙な確信がある。
悪夢を現実にするなど絶対に嫌だ。だから抵抗する。全力で抵抗する。

「なんっ・・・!?」
「っ!!くあぁぁぁぁぁあああ!!」

瞬時加速中の方向転換は空気抵抗のせいで錐揉みになり操縦者に大怪我を負わせる可能性がある、という教科書の何処かに載っていた情報を思い出しながらも俺は精一杯腕を捻った。
認めない。看過するわけにはいかない。自身のライバルの血でISを染め上げるなどあってはならない。何より(おさななじみ)に刀傷を負わせるということを俺自身が許容できない!

そして、辛うじて逸らした刃は箒の剣と激突し――

ばきぃぃぃん!!

「やはり量産品の刀では・・・っ!」

恐らく幾度と繰り返した剣と剣のぶつかり合いのせいで、あの短期間のうちに恐ろしく摩耗してしまったのだろう。普通の剣撃ならこうはならないが、ぶつかったのが剣術メインの戦法を取る者同士だったことも災いしたのだろう。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
防ぎきれなかった切っ先は――それでも激突の衝撃で僅かに箒の体から逸れていた。それに一安心しつつ、一夏は参型で打鉄のシールドバリアーの表面部分とフロントスカートを切り抜いた。ぞん!!という鋭い音と共に振り抜かれた刃は容赦なくシールドエネルギーを食らいつくし、打鉄の躯体から力が消滅する。

「くっ・・・見事だ」

≪箒機・打鉄 戦闘不能!≫



アナウンスに会場の歓声が爆発する。一夏にしてみれば恐ろしい経験だったのだが、観客から見れば逆転からのさらにどんでん返しという非常に熱い戦いに見えたのだろう。

自分の勝利の実感がない一夏はしばし呆然としたが、すぐさまISから放たれる警告音に我に返る。その場を瞬時に離れた瞬間、一夏が先ほど立っていた地面が爆発した。遠距離からの狙撃である。

「・・・っ!そうだ、佐藤さんを助けに行かないと!」

一夏はすばやく身を翻して佐藤さんの位置を確かめようとし、そこでふと不安がこみ上げて対人安全確保プログラムを確認する。あれは白昼夢で幻覚だったと自分を納得させる材料が欲しかったのかもしれない。結果として判断材料はセンサモニターに表示された。

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