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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五十幕 「囁きの黒、戸惑いの白」
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、女のくせに!才能ない癖に!
(違う!強かったとか弱かったとか、男とか女とかそんなのは関係ない!!)
そうだ、俺はまだ全然本気を出しちゃいない!ここいらで一発逆転だ!!俺が本気を出せば負けるはずがない!俺がヒーローだ!!
(止めろ!俺はそんな事考えてないし、今更逆転なんてできない!!)
頭の中を次々に
過
(
よぎ
)
るあまりにも醜い思考に混乱が加速する。そんな理論も何もないガキみたいなことを考えてはいないはずなのに、その言葉を放つ自分が容易に想像できて吐き気がした。まるで自分が本当に考えているようで、それが箒とは対照に思えて自分が惨めになった。
そして何より、その声を発する俺の声が、心底愉快そうにしているのが耳を塞ぐぎたくなるほど嫌だった。
何言ってるんだ
一夏
(
おれ
)
、力なら
お前
(
おれ
)
にもあるだろ。ほら、
お前
(
おれ
)
の腕を見てみろよ。そいつを使えばあんな女イチコロだぜ?
(――え?)
突然、
俺
(
あいつ
)
が自分に話しかける。姿は見えないが、もし顔があるのならきっとそれは醜悪な笑みを浮かべているのだろう。訳も分からないまま腕を見た一夏は一瞬息が止まった。
白式の左手が、純白のはずの装甲が、あの泥のように真っ黒に変色していた。
(ッ〜!何でだ・・・なんでこんなものが見える、なぜこんな声が聞こえる!?俺は幻覚か白昼夢でも見てるのか?夢ならとっとと醒めろよ!)
その泥が自分の体に張り付いていることが、どうしようもなく不快だった。まるで自分の心にある醜悪さが形を成しているようで、目を背けたくなった。慌てて振り払おうとするが、全身は自由が利かないまま。不快感と焦りばかりが募る。
ふと耳をすますと、俺の声をした何か声を殺して嗤っていた。下手をすれば本当に箒は死ぬというのになぜ
俺
(
おまえ
)
はそんな態度が取れる、と頭が瞬時に沸騰する。
(お前は!さっきからふざけてるのか!?)
フザケてんのは
一夏
(
おれ
)
だろ?全くあんなのに負けて悔しくないとか・・・思考が完全に負け犬だぜ。ほーら、とっとと止めないと白式が箒の血潮を浴びて”紅式”になっちまうぜ?まぁそれも格好良くていいかもな!はははっ!
(止めろ!何でこんな事をする!?お前が俺なら何の意味があって・・・くそ!動け!動けよ!俺の体だろうが、なんで俺の思い通りに動かないんだよ!?)
ああん?そんなの決まってるだろ。
お前
(
おれ
)
は俺の――
その言葉が最後まで聞こえることはなかった。突然白式の体が光り、泥と声をを振り払った。
――貴方はまだ出てきちゃダメ!
彼
(
いちか
)
には早すぎる!!
俺
(
あいつ
)
の声は、少女の声で遮られた。
俺
(
あいつ
)
の声が遮られて聞こえなかった事がなぜか
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