フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十三話 姿を現すもの
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―のではなく、刃の上を滑らせて上段斬りを受け流す。そして、そのままカウンター気味にフォルテにエクリシスの刃が襲い掛かる。
「おっと!」
しかし、フォルテはそれを屈むことで躱すと同時に魔法詠唱を行う。低級呪文なため即座に詠唱は完了する魔法がソレイユを襲うが、それを難なく躱すソレイユ。だが、同時に距離も生まれてしまった。フォルテは前回の戦闘では使われなかった魔法攻撃での奇襲に失敗するも一息つける距離ができたことに安堵した。
◆
「すごい・・・」
呟くように発せられたその言葉はリーファから漏れたものだった。先ほどの攻防を見てただ純粋にそう思えた。ちゃちなチャンバラごっこではない。一瞬の油断が命取りとなる攻防。相手を斬り伏せるという気概。正真正銘の“剣士”のぶつかり合いが目の前で行われていた。
「・・・リーファ、あのインプの彼?は何者なんだ?」
ソレイユとフォルテの闘いに見入っていたリーファの隣からそんな疑問が飛んできた。声のした方をリーファが向くとシルフ領主サクヤが困惑したような表情で闘いに目を向けていた。
「実はあたしもよくは知らないの。多分、キリト君の方が詳しいと思うわ」
「えっ・・・お・・・俺!?」
いきなり話を振られたキリトは戸惑ってしまう。いつの間にか二人の攻防は距離が生まれたため一息ついている状態であった。そして、サクヤとリーファのみならずそこにいた全員がキリトに視線を向ける。向けられた本人は少したじろいでしまうが、口を開いた。
「いや、俺も大したことはわからないんだ。ただ――」
「ただ?」
「前のタイトルであいつは最強の剣士って呼ばれてたよ」
「最強って・・・!」
キリトの言葉にリーファが絶句する。どんなタイトルかはわからないが、“最強の剣士”と一つのタイトルで呼ばれることなど並大抵の実力ではないことを示しているからだ。
「ところで、ソレイユと闘ってる奴ってそんなに強いのか?」
「え・・・えっと、どうなんだろ。あたし、あの人のこと良く知らないのよ」
「奴の名はフォルテ。サラマンダーの中でも最古参に数えられる一人だ」
キリトの質問に答えたのはユージーンだった。意外後頃からの声に少しだけ驚いたが、目線で続きを促した。
「俺が魔剣グラムを手に入れる前は俺以上の実力だったことは確かだ。ちなみに言うが奴は魔法剣士だ」
「あっ、思い出した!シグルドたちが昼行灯って言ってた人だ!」
ユージーンの言葉を聞いて思い出したかのように言うリーファ。失礼極まる言い方だが事実なためユージーンは否定する気はなかった。だが、予想外な所から言葉が飛んできた。
「フォルテが昼行灯と呼ばれるようになったのは≪種族九王≫がレネゲイトされた後からだったな
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