フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十三話 姿を現すもの
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がらユージーンにそう言うと、ユージーンは静かに背中に差してある魔剣グラムに手を伸ばす。それを見たフォルテも背中の大太刀をいつでも抜ける体制に入った。いきなり始まったサラマンダーの内輪もめに戸惑ったのはシルフ・ケットシー、そしてキリトたちであった。サラマンダーたちはこれが日常だというようにやれやれ的な雰囲気を醸し出している。
そんな一触即発の中、件の二人に声をかける強者がいた。
「おーい、内輪もめなら余所でやってくれ」
ソレイユである。基本的に物怖じしない性格がここで幸いした。ソレイユの言葉に二人は剣二の足ていた腕を引っ込める。
「ユージーンも負けたしサラマンダーにはおかえり願うってことでいいんだよな?」
「確かに現状でスプリガン・ウンディーネと事を構えるつもりはおれにも領主にもない」
「まぁ、あの狡賢い馬鹿がそんなことするはずないわな」
「貴様は黙っていろ!今日、この場は引こう・・・だが、貴様とはいずれもう一度戦うぞ」
「望むところだ」
そうキリトが返事をすると、ユージーンはソレイユに向かって口を開いた。
「貴様ともあとで戦うからな」
「へいへい。挑戦、待ってるぜ」
ソレイユの言葉を聞いたユージーンは翅を羽ばたかせた。他のサラマンダーたちもそれにならって翅を羽ばたかせるが、ただ一人――フォルテだけは地上に残っていた。
「おい、何をしている。さっさと戻るぞ」
「んー、せっかくここまで来たんだしこれも何かの縁だと俺は思うね」
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気を一変させ、鋭いまなざしでソレイユを見ず得ながら指をさし口を開いた。
「ソレイユ、お前にリベンジマッチを挑むとするよ――」
そして一拍置いてからフォルテは半身の姿勢になり――
「――構えな」
そう言いながら背中の大太刀をゆっくりと抜刀する。それを見たソレイユは苦笑いしながらフォルテと同じく半身の姿勢になり、腰に差してあるエクリシスをゆっくりと鞘から引き抜いていく。
「やれやれ。結局こうなるわけだ」
いきなりの展開に周りにいた全員が置いてけぼりを喰らうが、当事者の二人の雰囲気に呑まれ口を開ける者はいなかった。ゆっくりと距離を取るシルフ・ケットシー陣営とキリトたち。ここから去ろうと翅を羽ばたかせたばかりのサラマンダーたちは距離を置いて地面へと降り立った。誰もが息をひそめ件の二人を見据える。
「「・・・・・・」」
相手が自らの間合いに入っているにもかかわらず、二人からは攻撃する挙動が見られない。静かなにらみ合いが一分、二分と続く――と思われた時、誰かの息を呑む音が合図となって二人は動き出した。
「ふっ!」
上段から大太刀を斬り下ろすフォルテ。ソレイユはそれを刀で受け止める―
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