第十八章
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本郷はそんな彼に対して答える。
「おれから面白い見世物がはじまりますから」
「クッ」
アルノルトは本郷のその言葉を聞いて舌打ちした。
「見世物と言うか」
「そうだ」
本郷はそう答えた。
「他に何というのだ。魔物が倒されるこの時を」
「ウググ・・・・・・」
「観念するんだな。どうやら貴様はその銀貨だけはどうにもできないだろうしな」
「さて、闇の住人よ」
今度は神父がアルノルトに対して言った。
「覚悟はいいか。今この場で滅する」
「・・・・・・・・・」
それでもまだ構えをとる。だがそれはもう力のない構えであった。
「よいな」
「おのれ・・・・・・」
その前後を本郷と役が固める。それももう逃げ道はないものと思われた。そう、思われただけであった。
「こうなれば」
彼はそう言いながらまた指を噛んだ。
「ムッ!?」
そしてそこから黒い血を滴り落とす。それは瘴気を立てながら地面を汚した。
「また血を」
役はそれを見て眉を動かした。そして身構えながら本郷と神父に対して言う。
「気をつけろ」
「どうしたんですか」
「奴はその血から使い魔を出してくる」
「使い魔を」
「そうだ。蝙蝠や狼をな。注意しろ」
「それならもう慣れてますよ」
本郷は構えをとりなおしながらそれに応える。
「今までの戦いでね。今更驚くまでもありませんよ」
「そうか」
役はそれを聞いてとりたてて感情を込めることなく受け答えをした。
「それでは君に関しては安心だな」
「ええ、任せておいて下さい」
「神父様は」
「私もです」
神父の答えも本郷のそれと同じ内容であった。
「吸血鬼との戦いは今まで何度も経験がありますから」
「そうですか」
彼はやはり感情を込めずに受け答えをした。
「それではいいですね」
「はい」
神父は頷いた。
「ここはお任せ下さい」
「それでは」
それで大体決まった。三人はそのままアルノルトを囲んだままであった。だが徐々に間合いを詰めていく。
だが当のアルノルトは冷静なままであった。不敵な笑みを浮かべながら彼等を見ていた。そして血を自らの周りに撒き終えた。
「これでよし」
「その血がどうかしたのか」
「魔法陣は知っていると思うが」
アルノルトはそう答えた。
「何っ、まさか」
「そのまさかだ」
彼は役に対して平然とした態度でそう答えた。
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