第30話 「合成の誤謬」
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るアンネローゼ様などは、基本的に殿下です。軍関係者や事務局の方は閣下になります。もちろん何事にも例外があって、付き合いの長いリヒテンラーデ候などは入り乱れていますね。シルヴァーベルヒさんなども、性格からか、殿下と呼んだりしてるようです。
ふてぶてしいですからね。シルヴァーベルヒさんは。
ただ、どうお呼びしていいのか分からない場合は、殿下とお呼びしているようです。
基本的に皇太子殿下と呼んでおけば、間違いないですから……。
■ノイエ・サンスーシ 薔薇園 リヒテンラーデ候クラウス■
「なんと、ルードヴィヒめ。予の計画に気づいておるとは」
「いささか、皇太子殿下を甘う、見ておりましたな」
悪巧みを見破られた陛下と老人が、計画の変更を話し合っている。
いいかげんにしてほしいものじゃ。
とにかく皇太子殿下はお忙しい。
暇な老人の相手をしておる暇などありはせぬ。
『このお達者クラブがっ』
と、皇太子殿下が言っておりましたが、よく分かりますぞ。
『他に何か良い手はないか?」
「後宮はダメでしたな。となると……」
「あるのか?」
眠たげな様子でありながらも、老人の眼光は鋭く光りよったわ。
腹立たしい事この上ない。
重荷を皇太子殿下に背負わせておきながら、好き勝手に為されている陛下も、悪乗りする老人もじゃ。そんな事だから、陛下の予算を減らされてしまうのですぞ。
『カットだ。カット。仕分けしてやる』
とは、皇太子殿下のお言葉だ。
新しい財務尚書のゲルラッハも嬉しそうに、皇太子殿下のお言葉を聞いておったわ。
宮廷の予算を減らしたという話題は、帝国全土に瞬く間に広まり、皇太子殿下の改革のご意志に皆、感じ入っておる。
それが陛下の悪巧みの所為だとは、口が裂けても言えぬわ。
「殿下のかわいがっているラインハルトを、陛下の下にしばらく置いておくと言うのは、如何でございますかな? きっと落ち込む事でございましょう」
「うむ、あの者か。ルードヴィヒの驚く顔が目に浮かぶわ」
まったく、ろくでもない事を考えるものじゃ。
とはいえ、それぐらいで驚く皇太子殿下ではないわ。
児戯に等しいわ。けっ。
いかんな。わしも皇太子殿下の口調がうつってしまった様じゃ。
■宰相府 ジークフリード・キルヒアイス■
「え、ええー。どうして〜?」
ラインハルト様が驚いています。
そりゃ〜さすがに、皇帝陛下の下へ行けと言われれば、わたしでも驚きます。
ですが、皇太子殿下はしらっとした表情で、じじいの遊び相手をしてこいと仰られ、手を振ってラインハルト様を送り出してしまわれました。
「いや〜ラインハルトが、あのじじいたちの相手をしてくれる事になるとは、
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