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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第30話 「合成の誤謬」
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の後で新聞やら本やらでホテル側を散々貶した」
「それとカール・ブラッケさんの法案と関係があるのですか?」
「あるんだ。その記録を読んだときに、もし仮に俺がそのホテルの経営者だとしたら、どういう判断をしただろうかと、考えた」
「ふむふむ。それでどう考えられたのですか?」
「経営者が入店を拒否したのは、常連客が嫌がったからだ。その時、経営者は二つの選択を迫られた。まず奇抜な服装をした女性を受け入れて、常連客を失うか? それとも奇抜な服装の女性を拒否して常連客を、引き止めるかという選択だ。クラリッサならどっちを選ぶ?」

 う〜ん、どうしたでしょうか?
 でも、その奇抜な服装をした女性を受け入れても、その女性が常連客になってくれる可能性は低そうですね。だったら……今いる常連客を失うのは痛いです。

「私も拒否するかもしれません。常連客を失うのはお店にとっては、死活問題でしょう」
「そうだな。結局のところ、自分の趣味嗜好を受け入れろ。だが受け入れた結果、お前らがどうなろうが、こっちの知ったこっちゃない。そういう態度が見えてるんだ。で、訴えた女性は貴族らしいぞ。拒否したのは平民だ」
「うわー」

 貴族の横暴ですよ。それっ。
 平民をいじめてるだけじゃないですか?

「それでブラッケの持ってきた法案も、同じなんだ。自分はこう思う。こうである筈だ。だがその法案を執行したとき、どうなろうが知ったこっちゃない。そういうのが透けて見える。いや、そこまで考えても、気づいてもいないのかもな。フォンを外しても、根っこは貴族ということだ」

 だから訂正して来い。と突きかえしている訳ですか?
 読みもしないという事は、チラッと見た部分だけでも、それが透けて見える。その部分を変更していないし、気づいてもいない。
 だからダメ。
 内容の良し悪しは、その次の段階ですか?

「まーねー。いいかげん気づいても、良さそうなんだが……」
「案外、ブラウンシュヴァイク公とかリッテンハイム候とかの方が、先に気づいてしまうかもしれませんね」
「大貴族の方が気づいて、改革を主張してる方が気づかないとは、皮肉だよな」
「そうかもしれませんね」
「良かったよ。ブラウンシュヴァイク公が、あいつらを引き合わせてくれて。気づかないままだったら、いつも間にか法案を決める部署にいて、知らないうちにヘンな法案を通されていたかもしれん」

 宰相閣下が安堵のため息を漏らしています。
 ご心痛お察しします、と言いたいところですが、私如きが口にするのは、身分上まずいのです。
 本来であれば、直答すら許される身分ではないのですから。
 後これは、ラインハルトくんとかジークくんなどは、分からないのでしょうが、殿下は身分。閣下は役職にかかる敬称なのです。
 寵姫であ
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