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港町の闇
第十七章
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ものだ」
「クッ」
 神父はそれを聞いて身構えた。
「まさか」
「そう。今まで愚かにも私に挑みかかってきた神父達がいた。だが皆末路は同じだった」
 彼は語りはじめた。
「全て私の糧となったのだ。全てな」
「だがそれも終わりだ」
 神父は言い返した。
「貴様はここで死ぬのだからな。覚悟するがいい」
「覚悟というのは生ある存在のみがすることだ」
 アルノルトはそう言いながら伸ばしたままである爪を神父に向けた。
「我等死すことのない者達のすることではない」
 そう言いながら爪をさらに伸ばしてきた。そしてそれで神父を貫こうとする。
「死ね。そして我が糧となるがいい」
「クッ」
 胸に迫ってきた爪を紙一重でかわした。かわしながら懐から何かを取り出す。
 出て来たのは十字架だった。銀色に輝いている。
「十字架か」
 アルノルトにもそれは確認されていた。彼はそれを見て言った。
「古典的なものを出してきたな」
「確かにそうかも知れない」
 だが神父はアルノルトの言葉を意に介さず言葉を進めていく。
「だが貴様にはこれが最も効く筈だ」
「十字架がか」
「違う」
 彼はそれは否定した。
「銀がだ。違うか」
「否定はしない」
 アルノルトはそれを認めた。
「しかしそれで本当に私を倒せるのか」
「倒せる」
 神父はそう言い切った。
「必ずな。それを見せてやろう」
「ならば見せてもらおうか」
 アルノルトはその髪を抜き槍にしてから言った。
「倒せるのならな」
「では見せてやろう」
 神父は十字架を掲げながら言う。
「神の御力をな。今ここで闇の住人に」
「では見せてみろ」
 アルノルトはそれに対して言葉を返した。
「まやかしの力をな」
 神をまやかしと評した。それこそが闇の世界の者の考えであった。彼等は神の世界の住人ではないのだから。
「フン」
 アルノルトは今度は答えなかった。だがそれに対して十字架を投げてきた。

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