第四十一話 助けてくれ、過労死しそうだ
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はした、恩着せがましい言い方をするんじゃない。……簒奪か、悪いがそいつは既定路線だ、変更はない。別に銀河帝国の皇帝になりたいわけじゃない、皇帝にならざるを得ないのだ。
これから国内の政治改革を行う。貴族達の特権を抑え平民達の権利を拡大する、貴族の存在は認めても良いが政治的特権は認めない……。改革派の人間を登用し辺境の開発と合わせて内政の二大方針とする。そして同盟、フェザーンを征服して宇宙を統一しフェザーンに遷都する。まあほとんどはラインハルトの真似だ、難しい事じゃない。
俺はこの政治改革を一時的な物にしたくない。いや、してはいけないと思っている。この政治改革がゴールデンバウム王朝の政治方針に逆行するような事が有れば旧同盟領で反乱が起こり統一帝国はあっという間に崩壊するだろう。また分裂して戦争が起きる事になる。
戻しちゃいけないんだ。そのためにはゴールデンバウム王朝を完全に終わらせる必要が有る。何故なら王朝というのはどうしても開祖の影響を引き摺り易いからだ。こいつは江戸時代の大名を見てみれば分かる。藩祖の影響を強く受けている。藩祖は藩を創った人間だ、当然だが藩の運営方針も決めてしまう。二代目以降はその運営方針を守る事が仕事になってしまうのだ。会津藩が典型だ、それで藩を潰したようなものだ。
銀河帝国も同様だろう、晴眼帝と呼ばれたマクシミリアン・ヨーゼフ二世は劣悪遺伝子排除法を有名無実化した。しかし廃法にすることは出来なかった、何故なら開祖であるルドルフが制定した法だからだ。開祖の影響力というのはそれくらい大きい。あれを廃法にしたのはラインハルトが帝国の実権を握ってからだった。
ゴールデンバウム王朝が続けば俺の改革は一時的なもので終わりかねない。簒奪して新しい王朝を創る。遷都する事によってゴールデンバウム王朝の全てを完全に否定する。そして憲法を創り皇帝の役割を明確にし暴君が出ないように、暴政が起きないように制限をかける……。
最低でも三十年は皇帝をやる必要が有るな、そして善政を布く必要が有る。それによって俺の創った王朝を帝国臣民に受け入れさせる。……前途多難だな、過労死しそうだ、溜息が出た……。
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