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銀河英雄伝説〜悪夢編
第四十一話 助けてくれ、過労死しそうだ
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苦労様でした、ロイエンタール提督”と労を労ってくれた。そしてリヒテンラーデ侯に視線を向けた、侯も司令長官を見ていたがすっと視線を外した。視線の先にはアンスバッハ准将が居た。

「私を裏切ったのかアンスバッハ、それとも嵌めたのか」
「嵌めたのは私ですよ、リヒテンラーデ侯。アンスバッハ准将に侯を嵌めるようにと命じたのです。もっとも侯が私を殺せと命じた事は事実です、録音もしてあります、冤罪ではありません」
ヴァレンシュタイン司令長官が答えるとリヒテンラーデ侯が視線を司令長官に戻した。

「……卿、何が目的だ、こんな事をしてただで済むと思っているのか」
低い声だ、言外に怒りが滲み出ている。
「目的? それを聞いて如何します? これから先の事はリヒテンラーデ侯には関係ない事です。それにしても疲れました、侯の前で政治にはまるで無関心な軍人の振りをするのは。なかなか上手かったでしょう、貴方達は皆騙された」
「貴様、愚弄するのか!」
司令長官が苦笑を浮かべた。

「まさか、そんな事はしません。それよりも私達は話さなければならない事が有ります。何故この内乱が起きたのか、その真実を……」
「真実だと? 何が言いたい」
リヒテンラーデ侯が訝しげに問いかけると司令長官が頷いた。

「何故この内乱が起こったと思います?」
「……後継者が決まっていなかったからであろう、卿は何を言っている」
リヒテンラーデ侯が顔を顰めると司令長官は声を上げて笑った。
「違いますね、この内乱が起きたのは先帝陛下がそれを望んだからです」
妙な事を言う、皆が訝しげな表情をした。

「後継者などその気になればいつでも決められたはずです。ブラウンシュバイク、リッテンハイム、そのどちらかと組んで残った方を潰せばいい。その際、軍の力を温存して両家で潰し合いをさせる。勝ち残った方も傷を負うでしょう。そのまま後継者として認めるか、軍に潰させてエルウィン・ヨーゼフ二世陛下を後継者とするか、先帝陛下の意のままです。違いますか?」
「……」
なるほど、確かにそうだ、頷かざるを得ない。俺以外にも頷いている人間が居る。

「先帝陛下は皇帝としては凡庸でしたが批評眼は有りました」
「口を慎め!」
リヒテンラーデ侯が叱責すると司令長官は肩を竦めた。
「批評眼が有ったと褒めているのですよ、私は。しかし惜しむらくは皇帝としての力量は無かった。だから皇帝としては何も出来なかった、いやむしろ故意に何もしなかったのだと思います」
「……」

「リヒテンラーデ侯、批評眼の有った先帝陛下に帝国はどう見えていたと思います?」
「……どう見えたというのだ?」
逆にリヒテンラーデ侯がヴァレンシュタイン司令長官に問い返した。探るような目をしている。

「貴族達は私利私欲のままに動き政府
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