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港町の闇
第十五章
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取り出してきた。そして投げる。
「これを受けて滅びる為にな」
「滅びる、私がか」
 しかしそれでもアルノルトは余裕に満ちた態度を崩してはいなかった。
「おかしなことを言い続ける」
 そしてまた笑った。やはり余裕に満ちた笑みであった。
「笑えるか、まだ」
「無論」 
 そしてこう答えた。
「私がこの程度で滅びる筈がないのだからな」
 そして自分の左手の人差し指を噛んだ。そこから無気味な赤黒い血が出て来た。

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