第十四章
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い。
「ただ・・・・・・今後も注意は必要ですね」
「はい」
二人はそれに頷いた。
「それはよく覚えておいて下さい。もしかすると昼に戦うことになるかも知れませんから」
「もっとも敵は夜を時間に選ぶでしょうがね。それが彼等の時間なのですから」
「そうですか」
「昨日のようにね」
そこで本郷はそう言った。
「できればこちらとしては昼に戦いたいですが」
「そうは上手くはいかないもので。さあ」
話が終わるとあらためて巡査に声をかけた。
「行きますか、城に」
「はい」
こうして彼等はフラワーパークに向かった。署を出てそれぞれの覆面パトカーに乗った時であった。
「彼等がそうか」
それを物陰から見る一人の男がいた。
「日本の妖しき者達への懲罰者」
見れば黒い神父の服を着ている。だが神父とは限らない。
「行くか。あの者のもとへ」
そして彼等の動きを見守っていた。それからその場を後にした。
彼もまた何処かへ消えた。本郷達はそれを知る由もなくアルノルトとの戦いの場に向かうのであった。
フラワーパークは正式名称を神戸市立フルーツ=フラワーパークという。北区にある欧州の雰囲気を再現したテーマパークの一つでありここには城と農園、そして無数の花々が咲き誇っている。城と花により彩られた美しい場所である。神戸の名所の一つであった。
木造の音楽堂やパレスが美しい。今その前をそれとはやや場違いな者達が通っていた。
「できればこんな場合には来たくはなかったな」
「ええ」
大森巡査は七尾刑事の言葉に頷いた。
「女の子と行くのならともかく」
「御前あの彼女とはどうなったんだ」
刑事はふと尋ねてきた。
「まだ続いているのか」
「一応は」
巡査はそう答えた。
「ただこの事件がはじまってからちょっと会えないですけれど」
「仕方ないな」
刑事はそれを聞いてそう答えた。
「俺もだ。女房とは会っていない」
「お互い辛いですね」
「うちの女房はもう慣れてくれたがな。警官の妻だったら当然のことだってな」
「いい奥さんですね」
「生憎だがそうとばかり言えない」
だが刑事はここで苦笑した。
「うちの女房はおっかないぞ。俺でも勝てないんだからね」
「それ本当ですか!?」
それを聞いて別の警官が驚きの声をあげた。
「刑事が勝てないなんて」
「本当のことだ」
刑事は苦笑してそう答えた。彼は柔道五段、空手六段であり署においても屈指の猛者として知られている。その彼が勝てないということに皆驚いているのだ。
「女は弱し、というな」
「ええ」
「そして母は強し、だ。結婚して子供ができれば女は誰でも強くなる」
「そういうものですか」
「それは結婚すればわかるさ。そうだな」
彼はここで下に目をやった。
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