第十三章
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また我が魔術の一つ」
彼は幻術を使い自らの姿をこの部屋の中に映し出していたのだ。これもまた彼の術の一つであった。
「それを使っているのだよ。どうやら気付かなかったようだな」
「それでは質問しよう」
そこにいる全ての者が驚きを隠せなかった。だがその中で役はただ一人冷静であった。そして冷静な声でアルノルトに問うた。
「貴様は今何処にいるのだ。その城か」
「まだだ」
彼はそう答えた。
「だがすぐに向かう。すぐにな」
「そうか」
血の香りのする笑みを浮かべるアルノルトの言葉を聞き頷いた。
「それではな。楽しみに待っているぞ。ククククク」
そして姿を消した。後には怒りに満ちた目でアルノルトの消えた場所を見据える本郷と警官達だけが残っていた。
「城か」
役はその中で一人呟いた。
「それは一体何処なのでしょうか」
そして警官達に問うた。だが殆どの者はそれに首を傾げていた。
「さあ」
「城といいましても」
「姫路城じゃないですよね」
「そんなわけないだろう」
大森巡査は同僚の一人にそう言った。
「あれは姫路だろうが。ここは神戸だ」
「あ、そうだったな」
「しっかりしろよ、全く」
そう言って口を尖らす。神戸っ子である彼にとってはこうした間違いはあまり気持ちのよいものではないらしい。
「城といえばあそこだろ」
「言われてもわからないぞ」
「フラワーパークだ」
彼はそう言い切った。
「あそこしかないだろうが」
「あ・・・・・・」
それを聞いて警官達は思わず声をあげた。
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