覗き、ダメ、ゼッタイ
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マフラーは彼女の手に戻った。
「・・・・・あ、明さん・・・・!?」
明が自分の首に巻いてあったマフラーを宏助の首にも巻いたのだ。ただし、マフラーはそんなに長くないので、必然的に宏助と彼女の身体の距離は0に。密着。
「べ、別に私が寒かったから、こうしたら少しでも暖かくなるかな、と思っただけです!」
彼女は子供っぽくそう言い張る。赤い頬が見ていて心地よい。宏助の頬も自然と緩まって赤くなる。
勿論、自分からその布の束縛をとこうなどとは思わない。彼女から感じる温度が、とても心地よかった、そんな理由じゃ駄目なのだろうか。
それからしばらく、河辺を二人の男女が肩を寄せ合って歩いていた。
しばらく河辺を歩いたところで、住宅街に戻ってきた道とは別の道を辿る。すると道中に銭湯が建っている。宏助達はちょうど銭湯の裏側にいるので、パイプから出ている湯気を見ながら、そこを歩く。
白い壁やそこに書かれた落書き、パイプ、白い湯気、そして、
・・・・・・・・半透明で、頬だけを赤く染めて窓を覗き込む中年男性(浮かんでる)。
「あ、あれって・・・・?」
明のほうを見ると彼女はすでにその幽霊と会話をはじめている。が、しかし、
「駄目ですね。なんか彼、今全然呼びかけに答えません。」
「畜生。あれ完璧に覗いてるだろ・・・・・。」
なるほど幽霊だからばれないのかと妙に納得したとき、急にその幽霊がこっちを振り向く。そして異常な速さでこちらへやってきた。すると、
「・・・な、なにを言うんですか!や、やめてください!」
と顔を真っ赤にして怒る明とニヒヒヒと下品な笑い声が聞こえてきそうな下品な顔でその幽霊は笑う。
「ど、どうしたんですか?」
宏助は慌てて聞くが、彼女は顔を真っ赤にしたまま俯いている。そんな彼女をその幽霊はジロジロ眺め回す。あっちもジロジロしているので、こっちもジロジロすることにした。彼・・・・・つまり中年男性のその幽霊は既に髪の半分が白い。何故か上はスーツ姿。下は幽霊特有の布のような脚だ。
そして、彼は宏助の方を見て、ニヤリ、と笑った後、明に向かって突撃した。
「うおぃ!」
とりあえず明の手を引っ張ってかわすが、彼は諦めない。明に突撃を繰り返す。
「な、なんなんですか?この人・・・?」
「分からないんですか!こいつ幽霊ですよ!貴方に突撃したら・・・・その・・・・・服の下が見えるんですよ!」
宏助は右往左往しながら明に怒鳴る。明も納得するが、幽霊は追撃の手を緩める気配はない。
「ちくしょ!このやろー!」
明の腕を引っ張るが、間に合わず宏助は思い切って彼女の身体をつかむが・・・・。
「・・・・あ、そ、その宏助さん・・・・?」
「あ、す、すみません!」
全身をコートで包んでいる彼女の身体は掴みにくいため、必死に掴もうとしていると、ふと手が
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