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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
覗き、ダメ、ゼッタイ
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眼下にはバラ園が広がり、噴水、どこぞの著名な彫刻家が作ったであろう立派な彫刻、オブジェなどが多く点在しているはずのなのにその庭が広大すぎて全く面積を取っている感じがしない。少し日が沈んできた空を背に俺はせっせと窓拭きをする。
宏助が執事になってもう二日になる。宏助が首を縦に振った翌日にはすでに自分のマンションの引き取りは完了していて、自分の少ないひとまとまりの荷物と、身分証明書やらパスポートやらを無愛想なSPから渡された。どうやら宏助を「いない人間」に仕立て上げたらしい。友人や家族との交流が全く無かった宏助がそんな風になるのはしごく簡単であった。
宏助は一応ボディーガード、という役職だが、それなら普段はSPでも事足りるのでいつもは執事という役回りらしい・・・・みたいなことが契約書に書いてあった。そこに書かれていた給料の額と、契約期間「雇い主が死ぬまで」という字に覚えた衝撃と眩暈は忘れられない。麗が探し出してきた執事服を無理やり着せられてしまったのは失敗だ。上下黒のスーツに白のシャツと赤のネクタイ。こういう正装は苦手で動きにくい。
そんな不満やらなにやらを心の中でぶちまけていると、
「宏助さん、散歩にいけそうですか?」
・・・そんな不満を吹き飛ばす雇い主がやってきた。
そうだ、自分の本来の目的は、彼女の散歩をエスコートするという役目なのだ。宏助はSPがいるじゃないか、といったことがあるが、SPは見た目が恐すぎて明と外出した際に「大柄の男が若い女性を誘拐している」、と通報されたらしい。それに敵が複数の場合に備えてSPを何人も配置しなければならない。その点、宏助なら見た目は普通の高校生だし、相手が何人だろうと大して関係ない。
「もうすぐ終わるんでちょっと待っててください。」
「そうですか・・・・お仕事頑張って下さいね?」
そういって彼女は自室に引き返していく。彼女の姿が完全に消えてから顔のニヤけを解放、更に小さくガッツポーズ。そのまま手と足を高速で動かす。この二日間、屋敷の説明と、掃除の方法を教えられていたため、彼女との散歩ははじめてだ。早く一日に与えられた家事ノルマをこなそうと自分の力を使ってみるが、残念なことに、自分の力では確かに早くは終わるが、丁寧さがない、と麗に一蹴された。ただし、窓拭きなら大したことはない。人外の速度で窓が割れない程度に布巾と足を動かして、窓拭きを終える。この自分の力を使っても一日では到底無理なほどの広大な敷地を保有するこの屋敷の掃除、家事。料理系統、事務系統は麗の分担だがそれ以外は全て宏助の分担だ。流石に洗濯はいろいろと手間取った。今日の朝も明のアレとか麗のアレとかを目を瞑りながら必死で洗濯籠に放り込んだものだ。
 そうこうしている内に今日のノルマが終了。散歩の約束をしていたのでさっさと麗に報告をしにいく。最近場所を
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