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港町の闇
第十一章
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あ」
 他の警官達もそれに頷く。
「そのかわり報酬はいいですからね。だからやっていけますよ」
「はあ」
「それで話の続きですけれど」
 本郷は話を再開した。
「まるで丸太みたいな腕でしたよ。いや、電車位はあったかな」
「電車ですか」
「ええ。それが俺目掛けて来まして。完全に殴り潰すつもりでしたね」
「けれどそれを紙一重でかわした」
「そう。そして俺は逆に鬼の身体を駆け登った」
 まるで講釈師のようになってきた。本郷も乗ってきた。
「そしてね。鬼の頭のところに来たんですよ。それでどうなったと思います?」
「どうなりました?」
 警官達が身を乗り出して尋ねる。
「鬼はまた手を伸ばして俺を捕まえようとした。ギラギラとした目が俺を睨みつける」
「そして」
「俺はそれより早く跳んだ。そして鬼の脳天に上がり刀を突き刺しました」
「鬼の脳天にですね」
「そう。そしてそれが留めになりました。鬼は一気に倒れました」
 彼は上機嫌で言った。
「それで鬼はやっつけました。これが俺の初仕事でした」
「凄かったんですね」
「いやいや」
 胸を誇って謙遜するふりをする。
「まあ最初でしたから。戸惑いましたけれど」
「しかし見事にやり遂げてくれた」
 役が言う。
「あの鬼はね。私でも苦戦していたでしょうから」
「はあ」
「それをよくやってくれました。まああれは彼の入社テストでもあったのですが」
「入社テストですか」
「はい」
 役は答えた。

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