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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第29話 「舞踏会という名の物産展」
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つ者は少ない。卓越した技能の織り成す戦いを魅せようかとも思ったが、素人に毛の生えた連中同士を戦わせることに決めた。
 見ている貴族や平民の中に、あれぐらいなら俺でも、私でもできる。
 そう思わせることが先決だ。
 あまり上手すぎても、気後れするし。参加する連中も増えないだろう。
 それでは困る。
 卓越した技術だけなら、四、五回もやれば、現れて来るものだ。

「それに……」
「それに?」

 隣にいたアンネローゼが、聞いてくる。

「ザ○ファイトは戦争ではない。試合だ」

 楽しくMS同士の試合を眺めていると、ぺしぺしと誰かが俺の背中を叩いていた。
 うん、誰だ?
 ふりかえるとベーネミュンデ侯爵夫人に、抱きかかえられていたマクシミリアンが、小さな手で俺を叩いていた。

「こ、こらマクシミリアン。お兄様を叩いたりしてはダメでしょう」

 侯爵夫人が慌てて、マクシミリアンを抑えようとしていた。
 こいつも大きくなったな。もう一歳だもんなー。
 くりくりっとしたつぶらな瞳が、俺の事をジッと見つめている。人差し指を突き出すとしっかりと握ってくる。まるまるっとした小さな手。
 だが力強い。一生懸命になって握り締めてくる。
 こいつもまた、必死に生きようとしているのだな〜。

「元気だな」
「申し訳ありません」

 ベーネミュンデ侯爵夫人が詫びてきた。
 こどもを思う母の姿だ。マクシミリアンが、俺に睨まれるのを恐れているのだろう。
 まあひとつやふたつの赤子の粗相に、目くじら立てるほど、俺の心も狭くない。
 頭をひとつ撫でて、再び前を向いた。
 画面の向こうで、ア○ガイの爪が剣を弾く。
 まさかっ!!

『シャ○ニング――』

 あれをやる気か、そしてそんな機能まで、つけやがったのかぁ〜。
 液体金属なんぞ、どっから持ってきやがったっ!!
 あれか、イゼルローンかっ?

『――フィンガー』
「避けろ」

 思わず声が出た。
 ギ○ンが剣を盾に、かろうじて避ける。
 うぉっ、剣が砕かれた。
 うわぁ〜威力が強すぎる。調整させねばならんな。
 このバランスブレイカーが。
 SGの世界ではないのだよ。SGの世界では。

「あ、ギ○ンが、ア○ガイを殴りました」
「きっと、中の人が怒ったんだろうな」

 今頃、中で毒づいている事だろう。
 宇宙艦隊内で、殴り合いのケンカでも起きなきゃいいが……。
 頭を抱えたくなった。

 ■ザ○ファイト試合場 アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト■

「卿ら二人とも、抑えろ」
「やかましい。この猪を退治してくれる」
「なにを言うか、俺は真面目に戦っているだけだ」

 三機のみで繋がる通信では、口汚く罵りあう声が
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