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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第29話 「舞踏会という名の物産展」
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トという文字が、画面一杯に映し出されていた。

「これが見たかったんだ」
『巨人が戦う。それだけで壮観だ。現在準備が進められている、ザ○ファイト。
 本日はそれに先立ち、デモンストレーションとして、二機のMSが戦います』

 ザ○のモノアイが赤く光った。
 そして映し出されたのは、どこかの惑星の荒野。
 土埃の舞う中を、三機のMSが近づいてくる。
 一機は、四枚の羽を持った機体。

「あれは宰相閣下の専用機。確か……クシ○トリアと言ったか?」

 まさか宰相閣下が戦うのか?
 いや、宰相閣下は舞踏会の会場におられる。
 審判役か……。
 宰相閣下の専用機を、審判に持ってくるとは中々やるものだ。
 審判の判定は宰相閣下というよりも、皇室の権威を背負っているという、無言の了解を得られる。

「見てください。あれはギ○ンではありませんか?」
「そしてこっちはア○ガイか」

 古の甲冑を思わせるシルエットを持つギ○ンと、きのこのような形をしたア○ガイが、クシ○トリアの左右に姿を現した。

『我こそは帝国の騎士』
『俺の拳がぁ〜』

 うん? はて、どこかで聞いたことのあるような?
 誰だ?
 ギ○ンが剣を高々とあげ、ア○ガイは両手の爪を開いたり閉じたりしている。

「もしかしてビッテンフェルトさん?」
「アーッ、あの猪かっ」

 あいつ……なんでア○ガイに乗ってるんだ?
 そしてもう片方は誰かと思えば、ケンプじゃないか? そういえばあいつ元、撃墜王だったな。
 その関係か?

『ザ○ファイト』

 呆けているうちに、試合が始まった。
 ギ○ンの剣をすり抜け、ア○ガイが懐に飛び込む。

「うまいっ」

 左手の爪を開いてギ○ンの顔を覆った。
 そして右手で、腹を突こうとする。

「蹴られちゃいました」

 ギ○ンに蹴られたア○ガイが地面に転がる。
 そのどこかユーモラスな動きに、笑みがこぼれた。隣のエヴァも口元を手で覆っている。
 金属同士の軋む音が、耳に響く。地響きと揺れる大地。そしてその足跡。
 まるでスタンプのように、くっきりと残されるへこんだ跡に、画面で見ていてもMSの重量を感じさせる。
 横殴りに振るわれた爪が、ギ○ンの足を狙う。
 ぎこちなく剣を振るうギ○ン。
 めちゃくちゃに殴りかかるア○ガイ。
 これではまるで……。

 ■舞踏会会場 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■

「……ガキのケンカだ。だが、それがいい」

 そうだ。これでいい。
 あの二人を模擬戦のパイロットに選んだのは、こうなるだろうと想像できたからだ。
 キルシュバオム少佐とヴルツェル大尉ではダメだ。
 あいつらは強すぎる。
 奴らほどの操縦技能を持
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