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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第29話 「舞踏会という名の物産展」
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る。聞いた事もないようなものも多かったが、エヴァはうんうんと頷いていた。
 こういう事は男よりも、女性のほうが反応するものらしい。

「えっ?」

 そんな事を考えていると、エヴァが驚いた声を上げたので、画面を見るとコマーシャルだった。
 しかも女性の下着だ。
 まさか帝国でこの様なコマーシャルが流されるとは……。
 自主規制があったのでは?
 規制緩和をすると開催の挨拶の際、宰相閣下が仰っていたが、なるほどこういう所でも、規制の緩和が為されるらしい。

「はぁ〜寄せてあげるのですか?」

 ぼそりとエヴァが呟いた。
 興味津々らしい。だが俺は視線を逸らしてしまう。エヴァの手前もあるし、興味があると思われるのもまずい。
 その後は最近始まったというドラマの宣伝だった。
 伯爵家令嬢とその幼馴染の平民。そして令嬢の婚約者である子爵の三人を絡ませた、恋愛ものだそうだ。毎日昼過ぎに放送されていて、エヴァも見ていると言っていた。
 今日の放送では、辺境で財を築いた幼馴染が、オーディンに帰って来るという、話の流れだったらしいが、その途中で令嬢の父の手によって、兵役に取られてしまうというものだったそうだ。
 エヴァがぷりぷり怒っていた。
 子爵も宰相府! に入って活躍する予定だそうだが、令嬢の周囲は寂しいものになってしまう。
 そこに現れる第三の男。
 女性が好きそうな話だ。
 しかしドラマの中の宰相閣下は、もの凄く上品でかつ鋭利な方だった。
 本物を知っている身ともなれば、首を傾げるような場面も多々ある。ただ、ドラマの俳優よりも本物の方が、意志は強そうだった。
 線の細い優男ではないのだ。宰相閣下というお方は。

「最近よく見かけるのですが、あのお方は?」
「うん?」

 エヴァの問いかけに、画面をよく見ると映っているのは、ヨハン・フォン・クロプシュトックだ。クロプシュトック侯爵家の子息で、宰相閣下の下に召還されてきたそうだ。。父親のクロプシュトック侯爵と皇帝陛下の間には、諍いがあったそうだが、宰相閣下はそんなものは関係ないとばかりに、呼ばれたそうだ。
 俺がそう言うと、エヴァは……。

「宰相閣下は豪胆な方ですね」

 と感心したように頷いた。

「なりふり構っていられないほど、帝国の現状とは厳しいものなのだろう」
「宰相閣下のお体が心配です」
「大丈夫だ。あのお方は鍛えておられる」

 俺も鍛えていた方だが、宰相閣下もかなり鍛えておられるのが分かる。
 筋肉質だしな。書類の詰まった箱を軽々と持ち上げて運ばれるのだ。あれを見たら、いったいどこの誰が、宰相閣下は軟弱だと思えようか?

『巨大な汎用人型機動兵器ザ○』

 ナレーションの声にハッと顔を上げると、ザ○の巨体とザ○ファイ
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