第十章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
考えとかなり違うな、と思いまして」
「それについてですか」
彼はそれを聞いて何かに気付いたようであった。
「それについてはお話すれば長くなりますが。宜しいでしょうか」
「ええ、まあ」
巡査はそれに同意した。
「それでは明日」
「明日ですか」
「今日は遅いですからね。それに戦いの後ですし」
役は言った。
「身体を休めたいので。宜しいでしょうか」
「はあ」
巡査はそれにも同意した。
「それでしたら。では明日署で」
「はい」
こうして彼等は休息に入ることにした。関帝廟を出ようとする。
「おっと」
ここで七尾刑事が携帯の電話を入れた。
「戦いが終わって全てが終わりというわけではありませんよ」
「あっ」
本郷も役もそこで気付いた。
「そうでしたね。迂闊でした」
「はい」
大森巡査も他の警官達も既に動いていた。そして刑事の電話に応えてパトカー等がやって来た。そして哀れな犠牲者の亡骸を取り囲んだ。
「まだこれからっていう若い娘を」
その亡骸を見て刑事は忌々しげに呟いた。
「何て野郎だ」
「ええ」
本郷と役はそれに同意した。彼等もそこに立ち会っていた。
だが事件の真相は言うわけにはいかなかった。これはあくまで『普通の』事件であることになっているからであった。少なくとも表立ってはそうである。そういうことにしなければならないのだ。
「何としても倒さねいといけませんね」
「ああ」
役は本郷の言葉に頷いた。
「どれだけ手強くてもな。方法はある」
「あるんですか」
「陥落しない城はないって言うな」
「はい」
「そういうことだ。本当に不死身の存在も無敵の存在もこの世にはありはしない」
彼は強い声でそう呟いた。
「だからこそだ。必ず倒す方法はある」
「ですね」
それに本郷も頷いた。
「じゃあ行きますか。その時は」
「ああ。頼むぞ」
役は亡骸を見ていた。見ながら本郷に対して言った。
「彼女、いやあの男の毒牙にかかった多くの罪なき人達の為にもな」
「はい」
「必ず倒す。いいな」
最後に強い声が暗闇の中に響いた。そして彼等は目の前にいる亡骸をただ見つめるのであった。それから休息に入った。だがその休息は戦いの合間のほんの息抜きに過ぎなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ