第壱章 【転入編】
男子校×全寮制=薔薇がさく 【第一話】
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{side 寮長}
今日は転入生が来るらしい。
たしか書道で有名な朝比奈家のひとり息子だったはず。
可愛い子だったらいいのだが、朝比奈家の現当主がかなりの男前だったので望みは薄い。
まぁ、どちらにしろ最近ずっと暇をしていたのだ。
寮長室には俺=藤原歩の顔が好きだとか言って、媚を売ってくる奴しか来ないし。
転入生を部屋に送って、鍵を渡すだけの簡単な仕事だが、いい暇つぶしにはなるだろう。
そんな事を考えながらソファーで雑誌を読んでいると、扉から控えめなノック音がした。
これはビンゴだ---これまでの経験上、雄雄しい奴らは基本的にノックなどせず勝手に入ってくる。
「はいはーい」と言いながら腰を上げると〔これは可愛い子ちゃんだな♪〕と、どこかで確信しながら扉を開ける
「......っ!」
固まってしまった。
白くてすべすべの肌に、二重の大きな目、ちょこんとした小さい鼻、特にぷっくらとした薄ピンクの唇に目がいく。
一つ一つのきれいなパーツが、ちょうどいい位置に配置されていて...思わず見蕩れてしまった。
なにより(身長差でただの必然だが)上目遣いがたまらない。
「あの、鍵をもらいに来たんですけど...」
「あ、ああ。理事長から聞いてるよ。えーっと、朝比奈伊吹くんだよね」
お得意の営業スマイルで動揺を隠すと、伊吹はその笑顔に安心したようで少し顔が緩んでいる。
こくこくと頷いて「はじめまして、朝比奈です。案内お願いします」と、ふんわりした笑顔が返された。
「へぇ〜、伊吹くんって兵庫県出身なんだね。だからイントネーションが違うのか」
「え、やっぱり分かるんですか!?...ちょっと恥ずかしいです///」
他愛ない話をしながら廊下をすすむ。 ほんの数分で、名前呼びをokされて歩はご機嫌だ。
照れているのか、ほっぺたを朱に染めてうつむく伊吹を見て、思わずニヤつく口元をサッと手で覆う。
なにせ初めての一目惚れであり、同時に初恋なのだ。かっこ悪い顔を見せたくない。
今まで、学園のかなりの数の生徒を性欲処理として抱いてきたが、それに恋心なんて1mmも無かった。
その大体が可愛い見た目をした男子だったが、伊吹は別格だ。
隣を歩く伊吹を見るだけできゅうきゅうする胸を抑える。この感覚が恋ならば、扉を開けたあの一瞬で伊吹に欲情してしまったらしい。
ゆっくり、じりじりと伊吹を攻めることに決めた歩は、今日一日で「名前呼び」という第1関門を突破した。
..........伊吹は名前呼びなんて特に気にしていなかったが、それだけで心底喜んでいる歩は初心だった。
両思いへの道のりはまだ長い。
「801号室。ここが伊吹くんの部屋だよ」
「ここまで、わざわざありがとうございま
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