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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第十六話
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だが、前列が大歓声を浴びせているのであまり意味はない。そしてフレディが下がってドラムの位置につくと、彼特有の爆音でリズムをとるようにハットが響く。ギターとベースが同時に鳴り響くそのイントロに、竜二は聞き覚えがあった。

「こいつは……」
「知っているのか八神!?」
「ああ、間違いない……DELUHIのOrion once againや……」

 現在では既に解散したメタルコアバンドDELUHI。メンバー全員の技術力と、リーダーであるギタリストLedaの作曲センスで一部のバンギャの間ではカリスマ的人気を誇っていた。

「まった懐かしいものを……しかしさっきも思ったけどあいつ巧いなぁ。」
「ああ。音に違和感があらへん。昔とった杵柄ってだけでああはなれへんやろから、相当練習したんやろうなぁ。Last trainならまだそんなに変拍子もないけど、ディルとか叩く数おかしいからな。それできっちりリズムを作れてるって事は……」
「筋がよかったか、昔相当やってたかだな……」
「クズじゃなけりゃ、スタジオミュージシャンでもバンドでも呼ばれたやろうな」

 矢吹が頭を抱えていた。演奏そのものはレベルが高く、リズム隊の要になるフレディがこれについていけるとは、二人とも思っていなかったようだ。




 そして翠屋エリアでは、大の大人二人が呆れ返っていた。リンディとグレアムである。

「あんのクズ野郎が……これがあるから頑なに帰ろうとしなかったわけね……」
「どうやら無事に終わったようだ。そこだけが安心だな……」
「そうですね……さて、んじゃそろそろ引ったてに行きます?」
「そうするとしよう。君たちはどうする?」

 二人はその場にいたザフィーラに聞いた。しかし彼の答えはひとつ。

「……私たちは主の守護を」
「わかった。彼女たちをよろしく頼む。行くぞ」
「ええ、急ぎましょう」

 そして二人は走ってステージへと向かっていった。それを見てシグナムが一言。

「……今から走っても間に合うのか?」
「さぁな。私たちが気にすることではない」
「それは確かに。さて、あの男の出番が終わったということは、兄上殿もそろそろじゃないか?」
「……そうか。セッションとしては出ていたがバンドとしてはまだだったか」

 ザフィーラが配られたプログラムを見てシグナムに告げる。彼らもこの海鳴に来て二ヶ月、すっかり慣れたらしい。するとそこへなのはたちがやってくる。

「あのー、竜二さんのバンドってそろそろじゃないですか?」
「そう見たいだな。見たいか?」
「あ、え、その……私はもちろんなんですけど、はやてちゃんが……」
「まぁ、その見えるとこまでいけたらええなー、なんて……」

 やはり兄の晴れ舞台。懐いている妹として、
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