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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第十六話
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て、俺も準備するとしますか……」
「おい旦那、マジでアレ着るのかよ?」
「あん?当然だろうが。注目ってのは浴びれば浴びるほど快感なんだよ」

 果たして何をするつもりなのか、その表情は緩んでいるが、見るものが見れば震え上がるほど迫力のあるものだった。彼もまた、その場からどこかへと歩き去っていく。




 フェスの方はというと、ヴィジュアル系バンドのカバーが目白押しだった。最前列に限らず、髪を振り乱す女性が続出。the GazzettE、Dir en grey、Sadie、X JAPAN、alice nine、Acid Black Cherry、Janne da arc、Versailles、摩天楼オペラと続く。しかし、竜二と矢吹の二人も楽しんではいるのだが、フレディが出てこないことに疑問を持ったままだった。今二人は屋台のベンチに座りながら海鳴では有名なラーメンをすすっている。暴れると腹が減るのだろう。アスカと神坂はサウンドチェックに、店長は一人で前列にいるらしい。

「フレディ出ぇへんなぁ……」
「そろそろ俺らの出番も近いな。そろそろ行くか?」
「せやなぁ……」

 ラーメンを食べ終わったので動こうとすると、ステージに全員軍服のような衣装を纏っているバンドが出てきた。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムが一人ずつという構成だ。するとドラムの調子を見ていた赤髪の青年が前に出てくる。

「ん?……おい八神見ろ!」
「あ?……アァン!?」

 二人そろってオペラグラスを懐から取り出すと、その最前列の青年を見て驚く。その青年はいきなりその場で上着を脱ぎ捨て、側転バク転宙返りをステージの端から端まで使って敢行したのだ。名乗り上げもしないままにいきなりのこのパフォーマンスに観客も度肝を抜かされたように静まり、それから爆発したかのように歓声を上げる。彼はなんと背中に翼のタトゥーを入れており、それを見せ付けるように堂々と立っていた。そこまでされるとさすがにほうって置けなくなったのか、ヴォーカルである茶髪の青年が笑いながら頭をはたいてツッコミを入れているように見える。

「とうとう出てきたか……あのクズめ……」
「ああ……いきなりやってくれるぜ……」

 わざわざ取り出さなければならない距離まで下がっているのは物販エリアの地理的問題である。ドリンクは前列の方でも販売しているが、フードは後ろのエリアにしかない。もちろんスクリーンはステージに併設されているし、遠くからでも見えるようかなり大きなサイズではあるのだが、画面があちこちのカメラに切り替わるため誰かを特定して見るということはできない。

「さてと、確かにすごいが芸術点は出ぇへんでな」
「演奏を聴かせてもらわないわけには、な」

 今にもざわざわと騒ぎ出しそうな二人
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