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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第十六話
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 フェスもいよいよ大詰め。MAN WITH A MISSIONやFear,and Loathing in Las Vegas、Base Ball Bearに9mm parabellum bulletなど、様々なバンドのカバーがされてきた。そんな中だが、フレディがいるはずのバンドや竜二達のバンドの出番はまだ来ていない。

「あのフレディってドラマー、どこのバンドなんだ……まだ出てきてないみたいだけど」
「さぁな、どうせまともやあらへんのはわかっとるけど」

 竜二と矢吹の二人は休憩スペースでゆっくりしていた。アスカと神坂は二人で物販エリアを物色しに行っている。ドリンクとフードの補充と言い残していった。

「色物枠なのか?あの男は」
「俺もよくは知らん。仕事のできるクズってくらい」
「仕事ができるんならそれクズなのか……?」
「クズや。やり方がエグいし基本自分本位に生きてるからな」

 憮然として言い張る竜二。するとそこに、無造作に伸ばしている紫の長髪を整えることもしていない男性が現れた。黒い半袖ポロシャツに白いチノパン、青いスニーカーという出で立ちの彼は、二人が勤めるJS楽器店の店長である。

「やぁ二人共、今日はここにいたのか」
「あ、おはようございます店長」
「おはようございまーす」
「ああおはよう。今日は君たち二人とも出るんだろう?」
「ええ、まぁ」
「楽しみだな、私としても」

 そういって彼はタバコを取り出し、ライターで火をつける。喫煙スペースでもあるため、きちんと吸殻入れは置かれている。

「ここ二日とも店を休んで見た甲斐があったよ。やはりいいものだな、こういうイベントは」
「休んでって、俺らがおらな店回せませんやん」
「そうそう。最近になってやっとこさ各楽器のチューニング覚えたくらいだもんなぁ」
「んでまぁ遅いには変わりないし」
「ははは……痛いところをつくね、君たち」

 乾いた笑い声に固まった笑顔。ダメージを受けたところを見ると図星らしい。

「人員少ないんやし、事務方の店長やからって甘えてもらっちゃこっちも困りますねや」
「やっとこさ人増えるって聞いてホッとしましたぜ?」 
「いやー私も驚いたのだよ。私の秘書である彼女が、ようやく重い腰を上げてくれたことに感謝しないとな」
「ああ、そういや誰なんです?名前も顔も聞いてませんけど」

 そもそも竜二も矢吹も、彼に秘書がいるなどとは聞いたことがなかったために初めて聞いたときは驚いた。彼らから見ればただの楽器店の店長なので、秘書がいるような仕事をしているようには見えないからである。

「ん?言ってなかったかな?クイント・ナカジマという人なんだが」
「日本人のハーフみたいな名前ですね。それとも日本人と結婚しはったんですか?
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