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八条学園怪異譚
第四十二話 百物語その十五
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「だから大丈夫よ、魔女であってもね」
「本当にそうでもですね」
「捕まらなかったんですね」
「魔女狩りみたいに疑われただけで拷問のフルコースから火炙りはなかったわ」
 その拷問も恐ろしいものだった、それはバチカンの腐敗と並んで人間が何処まで悪事が出来るかということへの挑戦ではないかと思えるまでだった。
「白魔術ならよし」
「人に迷惑をかけないならですね」
「何の問題も無しですね」
「それでね」
 占いなり医術なりと思われて終わりだったというのだ。
 そしてだ、黒魔術の類であったなら。
「人に迷惑をかけるのならね」
「それならですね」
「そこで、ですよね」
「厳密に取り調べを行ってだったから」
 魔女狩りの様に疑いをかけられればそれで終わりではなかったのだ、間違っても。
「そうした国だったからね」
「それは今もですよね」
「流石にそれはないですよね」
「ええ、だからね」
「先輩みたいな人でもですね」
「火炙りにはならなかったんですね」
「切支丹でもちゃんと見極めていたから」
 だから踏み絵を置いていたのだ、切支丹かどうか確かめる為に。
「そうしていたのよ」
「成程、日本はその点は欧州よりずっといいですね」
「無茶がないから」
「そういうことよ、まあうちの学園にもね」
「うちの学園にも?」
「何かあるんですか?」
「魔女いるわよ」
 その火炙りになる存在がだというのだ。
「実はね」
「えっ、魔女がですか」
「いるんですか」
「そうよ、しかも魔性の女という意味じゃなくてね」
 それでなくだというのだ。
「今話しているままのね」
「魔女そのものがですか」
「その人がいるんですか」
「ええ、おられるわよ」
「ううん、そうなんですか」
「魔女の人もですか」
「おられるのよ」
 そうだというのだ、二人はそのことを聞いて顔を見合わせてこう話した。
「まあそういう人がおられてもね」
「この学園ならあるわね」
「そうよね、博士や妖怪さん達もいるし」
「幽霊さん達もね
「そうよ、大学の方に魔術研究会があってね」
 それでだというのだ。
「普通におられるから」
「それでその魔女の人もですよね」
「泉と関係あるんですよね」
「そうよ、まあ次はうわばみさんのところに行って」
 そしてだというのだ。
「確かめましょう」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
 次の次に行く場所も決まった、そしてだった。
 二人は再びワインを飲みそのうえでまた言った。
「次も宜しく御願いします」
「三人で」
「そうね、何かあんた達と一緒にいるとね」
 また元の顔に戻ってだ、茉莉也は二人を見ながら言った。
「飽きないわね」
「だからですか」
「いつもお付き合いしてくれるんです
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