TURN93 怪獣軍団その十一
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「けれど枢軸は勝ち過ぎているね」
「そうですね、確かに」
「連戦連勝です」
「ソビエトとはずっと戦って欲しいけれど」
それでもだというのだ。
「ひょっとしたらソビエトにもあの調子かな」
「あのソビエトともですか」
「我々が勝てなかったあの国に対しても」
「その可能性性はゼロじゃないね」
だから問題だというのだ。
「少し問題だね」
「では何か手を打たれますか?」
「ここは」
「間も無くソビエトが枢軸に宣戦を布告する」
連合側には待ちに待ったことである。今やソビエトが連合の最大勢力であり主力であるからだ。エイリスは既にその座から落ちている。
「そして満州に侵攻するけれど」
「それに対してどうされますか」
「援軍を向けられますか」
「そうされますか?」
「ははは、援軍はもう送ってるじゃないか」
ヒムラーは援軍の追加のことは一笑に伏した。
「もうね」
「では援軍はない」
「その追加は」
「しないよ」
はっきりと言い切った。
「それはね」
「ではどうされるのですか?」
「実は面白いつてがあってね」
ヒムラーはその少し見ただけでは整っている顔に思わせぶりな笑みを浮かべて語る。
「海賊だけれど」
「海賊、ですか」
「そう、レッドファランクスというね」
出したのは海賊だった。
「その海賊達を使おうって思ってるんだよ」
「海賊、ですか」
「そう、彼等を雇って枢軸を攻めさせるんだよ」
ヒムラーはこの策を出した。
「そうするよ」
「海賊を傭兵として使いますか」
「そうされますか」
「つまりソビエトに正面から攻めさせて」
そしてだというのだ。
「その側面を撹乱させるんだよ」
「そのうえで枢軸を消耗させる」
「そういうことですね」
「そう、これには枢軸も苦戦するよ」
敵が一つではないならというのだ。
「消耗してくれるよ」
「では、ですね」
「そのうえで」
「俺達は同盟相手を応援させてもらうよ」
言葉で、というのだ。
「大切な友人達をね」
「そしてやがてはですね」
「我々が」
「何も正面きって戦う必要はないんだよ」
実にヒムラーらしい考えである、常に正攻法を念頭に置き成功に導くレーティアとはそこが決定的に違っていた。
「戦ってもらってもいいんだよ」
「親しい友人に内裏として」
「そうしてもですね」
「まあそこは要領だよ」
まさにそれだった。
「じゃあ皆には頑張ってもらおう」
「では総統、今から海賊にですね」
「連絡を取られますね」
「そうするよ」
ヒムラーは早速テーブルにあるホットラインに手を伸ばした、そのうえで彼の為に手を打ったのである。あくまで彼の為に。
TURN93 完
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