第三十九話 赤かったから吃驚したよ
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。だがな、味方が勝利を収めた事に対して素直に喜べないっていうのはおかしいだろう。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いか? シュタインメッツが負けて俺の顔が潰れた方が良かったのか? お前は味方じゃないのか? 何考えてるんだかさっぱり分からん。俺の我慢にも限度が有るぞ。
「足が痛むのですか?」
ヴァレリーが心配そうな表情で俺を見ている。何時の間にか右足を摩っていたらしい。
「いや、大丈夫です」
「ですが」
「癖になっているのでしょう、考え事をしていると何時の間にか摩っている時が有ります」
今度は困惑を浮かべた。気が付けばメックリンガーも困ったような表情をしている。大丈夫だ、そんな心配しなくても……。
「ガイエスブルク要塞が降伏を申し出ています!」
オペレーターが興奮した声を上げると艦橋に爆発したかの様な歓声が上がった。メックリンガーとヴァレリーが幾分興奮した様な口調で“おめでとうございます”と俺に言うと他の皆も口々に“おめでとうございます”と言ってくれた。
嬉しいよな、こういうのは。でもな、あの二人だけは喜んでいない。そして“おめでとうございます”と言うのも口でモゴモゴ言っただけだ。気付いているか? 俺だけじゃない、他の連中もそんなお前達を見ているぞ。何が気に入らないのか知らないが不貞腐れている奴、そう見ている。
「ガイエスブルク要塞に降伏を受け入れると伝えてください。総参謀長、ルッツ提督、リンテレン提督に先に要塞に入り安全を確認するようにと、特に核融合炉などの安全を確保するようにと伝えてください」
「はっ」
俺が指示するとメックリンガーがオペレーターに指示を出し始めた。さて、内乱劇第一幕の幕引きに行くか。そして第二幕の幕開けだ。
帝国暦 488年 8月 25日 ガイエスブルク要塞 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
ガイエスブルク要塞は思ったより静かだった。司令長官はリンテレン提督の先導で司令部要員、そして護衛の兵達と共に司令室に向かっている。ブラウンシュバイク公爵夫人達投降者はそこで待っているらしい。所々に警備の兵が居た、こちらを見ると姿勢を正して敬礼してくる。
「意外に廊下は綺麗ですね」
「と言いますと?」
「要塞内部で戦闘は無かったようです」
私と司令長官の会話に同行している皆が廊下の彼方此方に視線を走らせた。なるほど、確かに綺麗だと思う。要塞内で戦闘は無かった、逃亡者は居ても裏切り者は居なかったのかもしれない。或いは逃げるのに忙しかったか、逃亡者を止めるだけの兵力が無かったのか……。
司令室には二組の母娘(おやこ)と軍人が約五十名ほど居た。宇宙艦隊の司令官達、そして護衛兵達。彼らが司令長官を敬礼で迎え、司令長官がそれに答礼で答えた。そして少し離れた場所に居たブラウンシュバイク
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