暁 〜小説投稿サイト〜
特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第1話:ハイジャック事件
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クリーグが疑問を呈する。

「これだ」

チンクはそう言って新たなウィンドウを開いた。
そこには次元港のターミナルビル屋上に据え付けられたカメラからの
映像が映っていた。
突入に備えて次元航行船の近くで待機していた警備部隊の隊員たちが
次々に倒れていく。

「ははぁん、なるほどね」

ゲオルグは映像を見てチンクの言わんとしていることを理解し、
口元に笑みを浮かべて頷いた。

「解説してもらえませんか?」

だがクリーグは理解できず、降参とばかりに両手を挙げた。

「隊員たちが狙撃を受けた個所を見れば判るのだが、
 狙撃の命中弾による衝撃は全く同じ方向に加わっている。
 近距離からの攻撃でこうはいかない。 実弾による攻撃である以上、
 このような特徴を持つ攻撃方法は狙撃以外にありえない」

わずかに胸を張りつつチンクが説明すると、クリーグは納得したように頷いた。

「あ、なるほど。 そりゃそうだ」

「理解したか? で、問題は狙撃位置なんだが・・・、どう見る?」

ゲオルグは2人に向かって尋ねながら、新しいウインドウに次元港近辺の
地図を映し出した。
3人はそれぞれに考え込みながらその地図を睨みつける。

「映像から判断するに、方向はこちらだな」

チンクはそう言いながら狙撃方向を示す線を地図の上に書き込んだ。
3人は地図の上の線を目で追っていく。
やがて3人の目は地図上のある一点で止まり、お互いの顔を見合わせた。

「ここだな」

そう言ってゲオルグが指差したのは次元港の敷地の側にある倉庫だった。
チンクとクリーグはゲオルグに向かって無言で頷く。

「で、作戦はどうします? 単に降下すれば同じように狙撃を食いますよ」

自分の方を窺いながら尋ねるクリーグの言葉に対し、ゲオルグは目を閉じ、
腕組みをして考え込む。
しばらくして目を開けたゲオルグの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

「こういうのはどうだ?」

ゲオルグは自分の作戦案を2人に向かって説明し始めた。
説明が進むにつれてチンクとクリーグ、それぞれの表情が変化していく。
ゲオルグの説明が終わったとき、2人の表情は対照的だった。

「さすが、分隊長ですねぇ・・・人が悪い」

クリーグは苦笑しながら言う。

「お前は絶対にいい死に方をしないぞ。 断言してもいい」

一方、チンクは嫌なものでも見るかのような目をゲオルグに向けていた。

「だが、いい作戦だな。 認めたくはないが」

最後にチンクはボソっとそう言って立ち上がった。





同じころ、次元港の敷地の側にある古びた倉庫の屋上では、
3人の男が床に座って話しこんでいた。

「マジで当たるとは思わなかっ
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